今年は夢の中とは思わなかったわ(爆睡だもんなぁ)
「……今年は夢の中とは思わなかったわ。厨房に行くのを阻止するまでもないじゃない」
「いや、だからってここ来て良いんすか」
「まぁ、後はこいつが起きるの待ちだもの」
そう言って、いつものようにオオガミの寝ているベッドに腰を掛けるエウリュアレ。
少し離れたところの椅子に座っていたロビンは適当な本を一冊選んで開きながら、
「なんつーか、愛されてんな。マスターは」
「なに? 呪いだとでも言いたいの?」
「いいや? 最高に羨ましい限りだって話さ。なんだかんだマスターも楽しそうだからな」
「……そう。でももうこの席は誰にも譲らないわよ」
「いや要らねぇよ。メルトとでも争ってろ」
「えぇ、任せなさい。キッチリ勝ってあげるから」
「……絶対になびかなそうなアンタが落とされてる時点で中々だよ。昔のお前に見せてやりたいね」
「ふふっ。随分な言いようだけど、ちょっと自覚あるからそれ以上言うなら射つわね」
「短気なのは変わってねぇな。だからってすぐ殺しに来るのはよろしくねぇぜこのやろう」
「あら、てっきりいつものノリで殺されたいのかと」
「いつもも何も一回もないだろうが……!」
本を元のところに戻し、嫌そうな顔をするロビン。
エウリュアレは楽しそうに微笑みつつ、
「ま、ロビンも貰うでしょうし、ここで殺すと後で誰に何を言われるか分かったものじゃないから早く行きなさい。メルトに見つかったら粉微塵よ?」
「マジか恐すぎるんだが。んじゃ、退散させて貰うぜ。頑張れよ~」
「えぇ。持てる手段を駆使して寝ていようがなんだろうがこれを届けるもの。私に惚れられたのだから、死ぬほどに愛されても文句はないでしょう?」
「……なるほどね。こりゃ、確かに一般人には重い愛だわな」
「えぇ、ギリシアの愛は重いの。特に女性のはね」
「ハハッ! そりゃいいや。変なことしないように見張っておけよ?」
「そうね。今度こそ逃がしはしないわ」
そう言って、寝ているオオガミの頭を撫でるエウリュアレ。
ロビンは苦笑いしながら立ち上がり、
「んじゃ、邪魔物は退散しますかね。頑張れよ~」
「えぇ。今度なにか作ってあげるわね。メドゥーサが」
「……遠慮しておくわ」
そう言って、部屋を出ていくロビン。
入れ替わるように入ってきたメルトは、
「何あれ。アイツ凄い機嫌が良かったんだけどなんかあったの?」
「いいえ? ただ、ギリシアの愛は重いって教えただけよ?」
「なにそれ。不思議なこと言うのね」
「えぇ。でもまぁ、アルテミスの神格を持っている貴女ならそのうち分かるわ」
「……納得いかないわ」
メルトはそう言って、唇を尖らせるのだった。
愛が重いのはギリシアの特権。可愛いなぁエウリュアレは!(洗脳済み
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ