「んあ? 機嫌良いじゃねぇか女神ーズ」
「何が女神ーズよ。殺されたいの?」
「安易な簡略化は自分の寿命を縮めるだけだってどうして理解しないのかしら」
「スッゴい殺意。手のひら返すように刺してくるじゃねぇの」
機嫌の良さそうな笑顔から一転。アンリの一言で何故か強烈な殺意を叩きつけてくるエウリュアレとメルト。
だが、アンリはその殺意に怖じけることなく、
「大方理由は思い付くが、一応聞いておこう。マスター関連で機嫌が良かったんだろ?」
「えぇそうよ? あまりにも面白いことをされて、とても楽しかったわ」
「あの執念だけは驚いたわね。でもまぁ、こちらとしても、心配事がなくなったって言うのはあるけど」
「へぇ、そんな面白かったのか」
「えぇ、本当に。なんでああなったか全くわからないけどね」
「どうせあの盗撮魔は録画しているだろうから、すぐにデータを貰いに行こうかと思って」
「……完全に良い様に使ってるよな。オレ、最初に会った時はラスボス感ヤベェなぁとか思ってたんだが」
「あんなの化けの皮よ。剥がれればアレ。というか、サクラファイブとかがいい例よね。アイツが余分だって言って切り捨てた部分だし。むしろ今は撮影班として使えてとっても便利ね。まぁ、顔を合わせる度に蹴りたくなるのは未だに変わらないけど」
「蹴らないの?」
「便利なのは事実だもの」
そう言って、楽しそうに笑うエウリュアレとメルト。
アンリは苦笑いをしつつ、
「それで? マスターは何をしたわけだ?」
「ふふっ。聞いたら笑えるのだけどね? さっき、私たちのチョコを貰うためだけに起きて、貰ったらガッツポーズを決めて冷蔵庫にしまってからまた気絶するように寝てたわ」
「なんだそりゃ。結局食べられなかったのか?」
「えぇ。結局食べられないまま寝たわ。起きたら食べさせてあげるもの。でもとりあえず動画だけは貰わないとでしょ。ちゃんとBBも工房にいるように脅し……ごほん。優しく説得したし、急いでいかないとだもの」
「そうね。それじゃ、私たちはBBの所に行くわね」
「お、おぅ……その、頑張れ。うん。じゃあな」
「えぇ、じゃあね」
そう言って、二人を別れるアンリ。
アンリはしばらく歩いた後、走ってロビンの部屋に転がり込むと、
「めっちゃ怖いんだが! マスター凄すぎだろ流石に耐えられねぇよあの重圧!!」
「突然人の部屋に転がり込んで叫ぶの止めてもらえねぇかなぁ!!」
叫び出すアンリを、ロビンは必死で静かにしようとするのだった。
エウリュアレとメルト、ラムダからチョコ貰ったので私のバレンタインイベントは延長戦に入ったのです。
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ