「やっぱり……おいしいわね」
「スイカだけでなく、塩まで自家製。思い入れ補正で更においしくなる……」
「思い出補正は最強なんじゃよ」
木の小屋で海を眺めながら、もぐもぐとスイカを食べる三人。
今日はいつも以上にぼんやりとしていた。
「それにしても……今日は木材取って終わったのぅ……」
「高難易度も、思ったのと全然違かったけどね……」
「あんな耐久、許さないわ……何よ、全員超耐性とか……」
「最後の最後で、まさかバスターチェインで耐性が破れる事に気付くとは思わなんだ」
「もっと早くに気付けば……楽だったじゃない……」
「結局、最初から最後まで生き残ってたのはエウリュアレだけだし」
「本当に……もう、ヘラクレスがいなかったら死ぬかと思ったわよ」
「やはり、ヘラクレスは最強じゃったか……」
全力で圧殺撲殺したヘラクレス。まぁ、そこにたどり着くまでの過程は全てエウリュアレが一掃していたので、結局はエウリュアレがメイン戦力だった。
「……スイカの種……取り辛いわね……」
「そのままかぶりつけばよいじゃろ」
「見た目を気にして、スイカを喰えるかぁ!!」
「マスターの言う通りじゃ! 勢いよく、大胆に、じゃ!!」
「…………あぁ、そういう事。だからこのメンバーなわけね……」
「うん。一番見られても問題無いメンバーでしょ? 他の皆は別の用でいないし、戻ってくる前に洗っちゃえば分からないでしょ。多少汚れても、ノッブか俺が何か言われる程度だし」
「さらっと儂の扱いが酷いんじゃが、気のせいじゃよね?」
「気のせい気のせい。ほら、さっさと食べちゃおうよ」
「……洗う時は手伝いなさいよ、ノッブ」
「う、うむ……流石にそこはマスターには任せられんからな……」
ノッブが頷き了承したのを見て、エウリュアレは少しためらってから勢いよくかぶりつく。
「んっ! こっちの方がみずみずしくておいしいわね!」
「そりゃ、スイカを抉って種を出すよりもそっちの方が果汁も出ないから美味しいじゃろ」
「うんうん……最大の敵は、うっかり口の中に含んだ種を噛み砕いたり、うっかり飲み込んだりする事……飲み込んだらおへそから芽が生えてくるよとか、よく言ったと思うんだ」
「うむ。完全に今言う事ではないな。そして、腹から生えた植物と同化したのがアウラウネじゃ」
「植物人間は植物の種を飲み込んだ人間の末路だったのか……!!」
「何言ってるのよ。そんな訳……無いじゃない」
「微妙な間が気になるんじゃけど……」
「可能性の彼方で腹から生えた植物によって浸食されたのがアウラウネ……!! ちょっとシェイクスピアかアンデルセンに相談してみるかな……」
「話でも作るつもり?」
「予定は未定。頑張るよ」
「まぁ、暇つぶし程度にならなるじゃろ」
「頑張りなさいな」
「う、うん……まぁ、帰るまでは何かに書いておくよ」
スイカを食べながら話し合う三人は、その後もしばらくのんびりとしていたのだった。
いや、アウラウネの話……書きませんよ……? たぶん……
スイカの種……箸で取るか、それともそのまま食べて、タネマシンガン叩き込むか……かみ砕いて飲み込むって、ありですかね……