「はぁ……スッゴい疲れたんですが」
「汝、いつも疲れてるな。で、これがとっておきだ」
バラキーから渡されたとっておきの飴を頬張りつつ文句を言うカーマ。
イチゴ、ソーダ、パイン、ハッカ、ウメしかないと言われたのが一番謎ではあったが、食べればパワーが出ると言われ、予想より遥かに柔らかい飴に困惑する。
「……なんですかこれ。めちゃくちゃ柔らかいんですけど」
「うむ。武蔵とやらから貰ってな。これを噛み締めポーズを取ればあら不思議。とても強くなれる……と言われたは良いものの、噛み締めるとわりと歯にベッタリとつく。でも美味しいのでとっておきというわけだ」
「……なるほど。まぁ、美味しいのは確かですし、そこはかとなくどこぞの神の恩恵がある気もしますけど……致命的に食べにくいですね。ハッカくださいハッカ。どこまでスーッとするのか試したいです」
「うむ。正直笑えないので試す覚悟はしっかりしておくべきだと吾思う」
そう言いつつ、飴を渡すバラキー。
カーマは特に警戒もせず口の中に放り込むと、
「っ!? っぁ、!? ゲホッゴホッっはぁ、ひぅ!? な、なんですかこれ! す、凄いんですけど! 死ぬ! もう口とか鼻とかじゃなくて、目まで来るんですけどっぁ!? 痛い痛い! なんでこうなるんですか!?」
「うむ。吾忠告したし、悪くないな。むしろイタズラ成功! くはは! 久し振りに成功したわ!」
「ふっ、ふざけてる場合じゃないっ、ですよ!? あ、あぁ~……ようやくなれてきましたけど、これ、死にますって……刺さりますって……空気に触れると痛いですもん……」
「まぁ、吾も倒れたし。一日部屋に引きこもったくらいだからな」
「なんて物を食べさせるんですか……!?」
「カーマなら大丈夫だろう?」
「どういう信用ですか……!?」
ゴロゴロと転がっていたカーマはゆっくりと起き上がると、
「ですが、ふ、ふふふ……まぁ、負けませんけどね……!? ハッカ飴に負けるとか、ちょっとふざけすぎですし……!」
「いや、飴に本気になっている時点でどうだろうかと思うのだが」
「正気じゃないくらい痛いじゃないですかこれ! 英霊に通用するハッカ飴もどうかと思うんですが!」
「武蔵とやらも舐めたらしいが、イチゴしか食べてなかったとか。噛み締めやすくて強くなれるとかなんとか。吾も分かるのでたまに使う。特に頼光と打ち合うときとか、無いと死ぬ」
「え、生死かかってるじゃないですか。それ食べさせてよかったんですか……?」
「まぁ、無くなったら貰ってくるし……ハッカ飴は最近使いすぎて耐えてくるようになってきて吾ピンチ」
「……はい。バレンタインで作ったヤツの余りですよ。どうぞ」
「お。ようやくか! ……試作品でも十分にうまそうだな?」
「足りなかったので仕方ないじゃないですか。まぁ、足りないならおまけで作りますよ」
そう言って、カーマは試作品をバラキーに差し出すのだった。
なんでか知らないけどカーマが舞い降りてきたせいでバレンタインイベントどこかに吹き飛んだんですが。というか、パリピも式部さんもいないからマスター書けない不具合。厳しいなぁ……
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王道のエウリュアレ
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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