「ん。アナ、こんなところでどうしたの?」
「あ、マスター。その、姉様達がクイズをすると言って部屋の中で準備をしていて……マスターも参加されます?」
廊下で立っていたアナに言われ、オオガミは少し考えると、
「飛び込みで良いの?」
「あ、それもそうですね……では、見ているだけでも。とは言っても、いつものだと思いますが……今回こそ見分けますっ」
「あぁ、クイズって、そういうことね」
そう言って、頷くオオガミ。
アナの気合いの入れようを見るに、おそらくこれまで一度も正解していないのだろう。
そんなことを思っていると、扉が開き、
「「さぁアナ。どっちが私でしょう!」」
そう言って、廊下に出てくる二人。
どちらもステンノの服を来ていて、服装はヒントにならなくなってる。
名前を呼んではダメだなと思ったオオガミは、右をA。左をBと呼ぼうと決め、アナに視線を向ける。
「え、えぇっと……う~ん……むむぅ……」
必死に考えていた。
オオガミは苦笑いをしつつ、とりあえず疑問に思ったことを聞いてみる。
「えっと、質問していい?」
「「答えに触れるものじゃなければ」」
そう、同時に答える二人。
オオガミは、対策済みか。と小さく呟き、質問を続ける。
「今回のこれって、何か賭けてたりするの?」
「「いいえ? いつものように、面白そうだからやってるの」」
「なるほどね。ありがとう。ちなみに俺の参加は?」
「「ダメよ。答えが分かってる人を入れても面白くないじゃない」」
「まぁ、そうだよね」
そう言って、オオガミは壁に寄り掛かる。
そして、たっぷり悩んだアナは、
「右がエウリュアレ姉様で、左がステンノ姉様です!」
「「本当にそれで良いのかしら」」
「……はい!」
一瞬悩んでいたように見えたが、自分の決断を信じたアナ。
そして、その答えに満足したのか、二人はアナに近付き、
「「残念でした!」」
「えっ、あっ、や、やめ、ふへっ、やめて、やめてくださいいぃ!!」
制止の声も届かず、無情にもくすぐりの刑に処されるアナ。
オオガミはそれを見て、とりあえず止めようはしない。
そして、しばらく二人がくすぐった後、息も絶え絶えなアナを見て頬を引きつらせる。
そんな惨状を作り出した二人はゆらりと立ち上がると、
「さてマスター。どうしてここにいるのか聞いても良いかしら」
「えぇ、全くの不思議ね。ちゃんと貴方が来ないタイミングだったはずなのだけど」
「マーリンが面白いものが見れるって」
「「あの夢魔擬き、余計なことをするわね」」
「あの、手加減してあげてね?」
「「えぇもちろん。楽にさせてあげないわ」」
「う~ん、手加減とは」
黒い笑顔を浮かべる二人を、オオガミは見送ることしか出来ないのだった。
外れるとくすぐられて、当てるとくすぐられた上でおやつをもらえる。どちらにせよくすぐられるので当てるしかないのです。是非もなし……
なお、でっかいメドゥーサにも同じことをしている模様。ゴルゴーンは問答無用で逃亡するので未だにどっちでしょうチャレンジしていない模様。
あ、オオガミ君がどの時点で気付いていたかはお察しです。
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ