「ふぅん……また、高カロリーなものを作ってるのね」
「全くよ。女神の神核を無効化して体型変化させてくるのはどうかと思うのだけど」
そう言って、エウリュアレはオオガミに淹れさせたミルクティーを一口飲む。
メルトは、オオガミがアビゲイルから回収したというクッキーを持ち上げつつ、
「でも、味は良いのよね?」
「……否定しないけど、認めたくはないわ」
「それ、もう認めてるんじゃなくて?」
「……認めないわ」
「そう……まぁ、それならそれで良いわ」
そう言って、メルトはクッキーを食べる。
「うん、美味しいわね。今度作らせようかしら」
「正気? 体型維持の天敵みたいなものよ?」
「別に、私にはステージがあるもの。レッスンもあるのだから、多少なら問題の無い範囲……最悪スキルでどうとでもするわ」
「うわっ、それはズルいと思うのだけど」
「使えるものはなんでも使う。基本でしょ?」
ふふん。と得意そうに笑うメルトと、恨めしそうに睨むエウリュアレ。
「というか、結局魔力過多で太るんだし、魔力を使えば痩せるんじゃないの?」
「……そう言えば、そうね。でもそれって結局戦闘に行き着かない?」
「そうでもないわ。遊んでいるだけでも運動になるもの。歌でも歌っていたら良いんじゃないの?」
「ん~……確かに、それもありかしら……」
「ユニヴァースの貴女たちは歌姫扱いみたいだし、良いんじゃないの? まぁ、それだけで痩せるとは言えないから、結局戦闘するのが一番早いんだけど」
「結局そこなのね。はぁ、素直に周回に行った方が早そうね」
「実際早いと思うわよ」
「ん~……まぁ、ある程度はしなきゃダメよね仕方ない。カーマのを食べたら行くことにしようかしら」
「それ、周回についてくる口実?」
そうエウリュアレに問うのは、カップケーキを持って来たオオガミ。
当然カーマ印ではなく、オオガミ印のもの。
エウリュアレはそのカップケーキを取りながら、
「まぁ、口実ね。でも、そもそも周回してるときは大体後ろにいるじゃない」
「確かに。基本的にいてもらってるね」
「それが前に出るだけ。別に構わないでしょ?」
「急いでなければね。でも、ラムダメインじゃないかな」
「ぐぅ……ままならないわね」
「単体だと厳しいもの。まぁ、急いでないときは組み込まれるとは思うけど」
「まぁ、お手軽周回が楽すぎてそうなっちゃうのも仕方ないよなぁと」
「……最悪、メドゥーサ達を使うことにするわ」
「どう使うのか、まるで想像できないのだけど……?」
メルトの疑問に、エウリュアレは不気味に笑うのだった。
庇護の化身曰く、「太ってる姫様とか誰も救いたくないわよね。基本」とのこと。庇護されるのにも努力は必要なのですね……
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ