「……ん。んん……あぁ、寝てたのか」
廊下から差し込む光以外が無い暗い休憩室で、ソファーの上で目を覚ますオオガミ。
誰かが気付かずに電気を消したのかと思い、立ち上がろうとして、右腕が動かせないことに気付く。
反射的に見ると、そこには腕を掴んで離してくれないエウリュアレがいた。
「……まぁ、うん。しばらくこのままでいいか」
そう言って、ソファーに座りなおすオオガミ。
暗い中で天井を見上げ、ぼーっとしていると、
「……こんな真っ暗な中、何をやっているのだわ」
リリン。と響く鐘の音。
オオガミが視線を更に上に向けると、逆さのエレシュキガル――――否、普通に心配している様子のエレシュキガルがいた。
「ん~……寝落ちして、目が覚めて、エウリュアレに腕を掴まれてるからそのままぼんやりって感じ。目覚めたばっかりでぼーっとしてるし」
「……普通に、夜遅いのだわ。部屋まで送りましょうか?」
「え、もしかして巡回?」
「えぇ、もう皆部屋に帰ったわ。というか、帰したの。夜中まで遊ぶのもいるけど、一応部屋に戻って行ってもらった方が良いし」
「あぁ、うん……なるほどね。仕方ない、エウリュアレもそろそろ起きただろうし、戻ります」
「……本当に寝起き?」
「本当に寝起きですが。というか、これだけ喋ってたら起きるから……」
そう言って、エウリュアレを軽く揺するオオガミ。
「エウリュアレ。起きて。というか、起きてるでしょ」
「…………」
「……寝ているんじゃないの?」
「起きてる雰囲気あるし、確実に起きてるんだけど、狸寝入りで動きたくないだけだと思う」
「す、すごい自信ね……正直流石過ぎてちょっと怖いわ……」
「凄いね。一ミリも否定できないから泣ける。でもエウリュアレが起きてくれない。これは運んで行けって事でしょうか」
「いや、私に聞かれても困るのだわ……誰か呼んできましょうか?」
「それは大丈夫。筋力はあるので問題無し」
「そう……私も力には自信あるのだけど……」
「大丈夫。荷物運び的な意味じゃないから」
そう言って、意地でも起きようとしないエウリュアレに掴まれた右腕を引き抜き、そのままエウリュアレをお姫様抱っこする。
それを見ていたエレシュキガルは、
「なんというか、羨ましいのだわ……」
「……後でしようか?」
「えぇ!? いや、そんな、そういうのは嬉しいのだけど、その……お、お願いしたいのだわ……」
「うん、わかった。エウリュアレを運んだ後でね」
「あら、私を荷物扱いとか、生意気ね」
「起きてるなら落とすよ」
「おやすみマスター」
突然目を覚ましたかと思えば、オオガミの一言で再び眠りに落ちるエウリュアレ。
オオガミはエレシュキガルの方を見て、苦笑いをするのだった。
寝起きののほほんとした感じを書こうとして、しかし想像とどこか違うこの……う~ん……
あ、こんなのを書いて欲しいなどがあればお題箱にどうぞ。適当にぶん投げてください。
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ