「……帰ってこないのだけど」
「長引いてるんじゃないの? 知らないけど。エリザベートメインの弾丸ゲリラライブとか、正気を疑うけど」
冥界に出掛けたオオガミが帰って来ず、暇なエウリュアレとメルトは食堂の端で横並びで呆然としていた。
「そう言えば、今種火周回してるの?」
「してるわよ。巌窟王とスカディを連れて手早くね。貴女を連れていくと色々面倒なの。主にスキルが」
「別に、何も言ってないのだけど」
「顔に出てるわ。オオガミ並みに分かりやすいわよ」
「……それ、褒められてるの?」
「どちらかと言えばダメな方じゃない?」
「……彼、そんなに顔に出るかしら」
「えぇ。良いことに関しては。悪いことは全く出さないのにね」
そう言って、自分で作った紅茶を飲んで渋い顔をするエウリュアレ。
メルトは砂糖をエウリュアレに渡しながら、
「私、そんなに顔に出てる?」
「えぇ、オオガミ並みに」
「……さっきのと合わせたら全然顔に出てないってことにならないかしら」
「……まぁ、私からすると出てるってことかしら」
「観察力があるのね」
「むしろそれしかないというか。私は本来戦える女神じゃないもの。無理難題を押し付けて泣かせるのが私よ? 相手がどれくらい出来るかとか見抜かないと、もしクリアされたら大変だもの」
「ふぅん……大変なのね。戦えないって言うのは」
「どうあがいても守られるしかないもの。でも、下手に戦える力がある方が面倒の気もするけどね」
そう言って、紅茶に砂糖を入れ、あらかじめ用意していたミルクを注ぎ、ミルクティーを作る。
メルトはぼんやりとそれを眺めつつ、
「守られるだけなんて、想像したこともないけど……でも、そっちの方が辛そうね」
「あら、そうでもないわ。あいにくと、盾に困ったことはないの。いずれオオガミにも越えてもらわないといけないわね。今は三枚になった私たちのもっとも信頼する盾を」
「……クリアできたら、晴れて化け物じゃない」
「あら、嫌かしら」
「いいえ? 大いに結構。強いのは嫌いじゃないし、化け物って響きが良いわ。美女の隣にいるのは怪物って言うのも、ロマンでしょう?」
「ふふっ、そうね。白鳥と、それを羨む怪物。とっても映えるんじゃない?」
「良いわね、それ。いただくわ」
「何に使うのかしら」
「次のステージとか?」
「あら、それは楽しみね」
そう言って、クスクスと笑い合う二人。
「まぁ、なんにせよ、今の危機を脱してからね」
「えぇ。第三回シュメル熱とか、誰得かしら」
「も、もうなんとでも言ってほしいのだわ……」
巡回して、ヘロヘロになって帰ってきたエレシュキガルに、エウリュアレは出来立てのミルクティーを差し出すのだった。
いやぁ、やることいっぱいで手が回らない! どうしようこれ! うははは! 明日には終わらせないとなぁ!
えぇ、はい。存外やることいっぱいだなぁと思いました。頑張りますぅ……
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ