「……想像以上の構図ね」
「あはは……こっちもビックリだよ」
「あら、しばらくはここを譲る気はないわよ?」
そう言って、オオガミの左腕を掴んで離さないエウリュアレ。
昨日からこの調子で、誰が来てもどこにいても似たような反応だった。
見かねたメルトは、食堂でそうしている二人に声をかけていた。
「はぁ……楽しい?」
「意外と。枕にするにはやっぱりちょっと硬いけど」
「そう。まぁ、楽しいなら良いわ。じゃ、好きに座らせて貰うわよ」
そう言って、オオガミの右隣に座るメルト。
呆然としているオオガミに、メルトはきょとんとした顔で、
「何? 顔に何か付いてる?」
「いや、そうじゃなく……座るんだね?」
「当然。じゃなきゃ誰が私にお菓子を食べさせるって言うの?」
「あ、はい……今日はミニマフィンですよメルト様」
「あら、美味しそうね。いただくわ」
そう言って、差し出されたミニマフィンを食べるメルト。
とても美味しそうに食べる彼女を見たオオガミは少し嬉しそうに笑う。
すると、エウリュアレが、
「ちょっと。私にはないの?」
「えっ、エウリュアレも?」
「何よ。私はダメなわけ? メルトは良いのに」
「いや、そういう訳じゃないけど……良いんです? 威厳的に」
「既に手遅れよね……?」
「それを言われると言い返せないね……?」
じゃあ仕方ないか。と言ってメルトと同じように食べさせる。
しかし、いくら小型に作っているからと言っても一口で食べるのは如何なものかと思うオオガミだが、本人達は至極嬉しそうなので気にしないことにする。
「でもまぁ、ここまで甘えられて悪い気はしないよね」
「あら、てっきり嫌がってるのかと思ったのだけど」
「いやいや。確かに今までより近い気がするけど、まぁおおむねいつも通りだし。うん。幸せすぎて殺されそう」
「それはあるかも。メドゥーサ達に襲われるかもしれないわよ?」
「BBも来るかもしれないわ」
「BBはともかく、メドゥーサ達は手加減してくれなさそうだなぁ……」
「まぁ、今のうちに楽しみなさい」
「そうするよ。いつ女神様独占の罪で罰が下るかわからないしね」
「えぇ、堪能しておきなさい」
そう言って、二人はオオガミに寄りかかる。
* * *
「あれって儂らのせい?」
「いや、あれは元々の性質だと思いますよ……? 単純に距離が縮んだだけ……」
「元からああだったってことじゃな……?」
「殴りたい気持ち分かりますよね……」
「うむ……わかる……」
離れたところから見ていた二人は、しみじみと頷くのだった。
大体いつもこんな感じだからいつも通りでは? と我に帰った私です。いつものですね……?
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ