「う~ん、そろそろメルトの出番も打ち止めかな?」
「今回のライダーを倒したらエウリュアレかしら」
「私、セイバーとバーサーカー以外は相手しないわよ」
本日は森の中を散歩している三人。当然周回時間外なのでスカディは遊んでいる。
しかし、戦闘範囲外とはいえ野生のエネミーはいるので、その都度始末している。
「そもそも、戦える幅は狭いのよ? 男性で、その上セイバーかバーサーカーじゃないと勝てないもの。編成に組み込むのは構わないけど、適材適所。大半はメルトに押し付けてちょうだい」
「とんでもないこと言うわね。でもまぁ、戦うのは嫌いではないし、いくらでもどうぞ? バフ要員じゃないから敵を倒せる爽快感は無限に手に入るもの。蹂躙は楽しいものね」
「あら、それは良かったわ。それじゃあ、これからもお願いするわね」
「えぇ。飽きるまでは引き受けてあげるわ」
「マスター置いてけぼりで話すの好きだよね二人とも」
「「えぇ、とっても」」
「くっ、笑顔が眩しいっ」
二人の笑みに、返す言葉を失うオオガミ。
そのイタズラな笑みを浮かべたまま、二人は、
「ねぇオオガミ? これで私はレイドに参加しなくて良いわよね?」
「それは別問題」
「ちぇ。やっぱりこれくらいじゃ効果がないのね」
「コイツほど魅了慣れしてる男がいるかしら」
「魅了に振り回されてる過去があるからね。任せておいて」
「私の唯一の利点を潰すとか、流石ねマスター」
「エウリュアレの利点は対男性絶対殺す女神ってところです」
「あら、自殺願望?」
「出来れば死にたくないね」
ふふふ。あはは。と笑い合う二人。
メルトはそんな二人を見つつ、
「飽きないわね貴方達」
「何度やっても何年やっても飽きないしやってると思うよ?」
「え、私そんなに一緒にいなきゃなの?」
「いつまでも一緒にバカなこと言ってたいね」
「私はいらない?」
「当然必要ですけど?」
「まぁ、浮気者ねマスター」
「かのゼウス様と比べたら全くって感じです」
「あれと張り合わないで」
「うわぉ。エウリュアレの目がマジだ」
「逆鱗よね。どう見ても」
珍しくお怒りのエウリュアレ。オオガミは降参とばかりに手を上げ、メルトはニヤリと笑う。
「それで、お気持ちはいかがかしら、マスターさん?」
「ギリシャ思考で行きましょう女神様」
「仕方ないわね。まぁ、オリオンくらいで考えてあげる」
「一筋男じゃんね。というか、だいぶ無茶なこと言ってるよね」
「バカね。女神に好かれた時点で手遅れよ? 何度も難関を越えて貰わなきゃ。かのヘラクレスみたいに」
「確実に死にますよねそれ。筋力も知力も足りてないんですが」
「それはほら、これからよ」
「無茶苦茶な……」
「ついでに私の蹴りにも耐えられるようになっておいてね?」
「蹴るんですかメルト様?」
恐ろしいことを言われるオオガミは頬を引きつらせ、エウリュアレとメルトはにっこりと笑うのだった。
最近この三人を出すとドロドロし始めるという事に気付き危機感を感じるも止められない私。甘々な頃はどこに行ってしまったのかと思いつつ、どっちも独占欲高いだろうから自然なことだなと納得してしまった私は安心して死ぬのです……どっちも選べねぇ……