「ん~……この空中庭園、落とすの何度目だっけ」
「落とすのは二度目。チョコレート農園をしたことが一回よ」
「チョコレート農園ってなによ……え、ここ農園だったの?」
アビートラベルで空中庭園に降り立った三人は、レイドそっちのけで散歩をしていた。
「ん~……やっぱり防衛システムも敵もそれなりに強いけど、景色がいいんだよねぇ……これ、落とさないといけないのが残念なところだよね」
「散歩コースに気軽に組み込めるところではないし、落としたところで気にしないけど」
「むしろ積極的に落としましょう。高いところで見下ろす奴とか嫌いなのよね。始末するべきよね」
「うわぉ。殺意高いなぁ本当に」
悪い笑顔を浮かべる二人に、オオガミは苦笑いをする。
「でもまぁ、高いところは嫌いじゃないわ。あの部屋乗っ取って女王様ごっことか楽しそうよね」
「いいわねそれ。やりたいわ」
「目的はいつも変わるね。まさか空中庭園乗っ取りをしたいとか、とんでもないよね。出来ないでしょ」
「まぁ、落ちている最中なら出来るんじゃないかしら。10秒くらいなら遊べるわ」
「圧倒的高速遊戯。正気を失ったような発想だよね」
「楽しんだ者勝ちよ。どれだけ早くてもその瞬間楽しめたら完璧なんだから」
「なるほどね。そりゃ単純明快。最高だね。で、従者は僕でしょ?」
「一人きりの女王様なんて、そんなむごいことをするの? 酷いわね、マスター」
「なんて悪質なマスターなのかしら。一人で遊べなんて酷いわ」
「誰もやらないとは言ってないけど、それにしても酷い言い様だね?」
苦笑いをしているオオガミの反応すら楽しんでいる二人は、時々やってくるエネミーを叩き潰しつつ、空中庭園の端に向かい、
「ん~……景色がいいのは確かなのよね。動いてるし想像以上に速度早いから身を乗り出すと落ちそうで怖いけど」
「身を乗り出すとか死んじゃいません? 普通に怖いでしょこの高度」
「英霊がこの高さくらいで死ぬわけないじゃない。ただ、戻ってこれないのと全身が痛いだけで」
「最悪じゃん。落ちないでよ? エウリュアレ」
「落ちないわよ。押されたりとかしない限り」
「押せってこと?」
「道連れにするわよ?」
「ひっそりとケンカしないで?」
不穏な気配の二人に頬を引きつらせるオオガミ。
だが、二人はすぐににやりと笑うと、
「それじゃ、屋内に向かいましょ。女帝様から椅子を奪わないと」
「私たちの遊びのための犠牲になってもらわなきゃね」
「悪魔かこの二人……」
頬を引きつらせ、オオガミはそう呟くのだった。
なんだかんだいつも通りですねこれ。
正直レイドに対するやる気全力低下中なんですよね……そんなに欲しい素材がないというか。戦力そろってるとこういうことがあるんですねぇ……骨と塵は集めなきゃですけども(白目