「今日エイプリルフールなんだって」
「……なにか思い付く嘘とかあるの?」
「いや、全く無いけど」
きょとんとした顔でエウリュアレの事を見るオオガミ。
エウリュアレはため息を吐き、
「自分から話を振っておいてそれ?」
「だってほら、別段無理して嘘つく理由もないし」
「そうかしら……なんだかんだ言ってどうでもいい嘘を吐くんじゃないの?」
「いやいやまさか。そんな予定ないけど?」
「本当に?」
「本当だって。信用できない?」
「えぇ。全くできないわ」
「ひっどいなぁ……まぁいいけど。ところでメルトは?」
「今日は近づかれたくないって」
「一番ひどいのでは?」
「日ごろの行いじゃない?」
「日ごろの行いかぁ」
「……そうやって素直に認めるところは嫌いじゃないわ」
ため息を吐き、空中庭園の外に出るオオガミとエウリュアレ。
既に真っ暗な空は、月明かりだけが地上を照らしてた。
「ん~……真っ暗だね」
「ちょうどいいくらいよ。暗いところっていいわよね」
「妹が蛇っぽいからってそんなこと言わなくてもいいと思うんだけど」
「誰もメドゥーサに配慮した発言なんてしてないわよ。実際暗いほうが目が痛くないわ。アーチャーになって視力が良くなっちゃったから辛いのよ」
「なるほど。じゃあこれからサングラスでもかける? ラムダみたいに」
「それだと見難いじゃない」
「そういうもん?」
「そんなものよ。何より、私の可愛さが半減よ?」
「サングラスは可愛さもかっこよさも向上させる素敵アイテムだよ?」
「そうなの? じゃあつけてみようかしら」
「こんなこともあろうかと、準備済みなんですね」
そう言って、当然のようにサングラスを取り出すオオガミ。
「貴方、私に対して服飾の準備が異様に良いわよね」
「ふふん。エウリュアレの可愛さを追求することに余念がないと思っていただこう」
「なんで本人より生き生きとしているのよ」
「ちなみにメルト用のアイテムも取り揃えてる」
「準備に余念なしってことね」
「そうそう。で、かけます?」
「いいわね。ちょうだい?」
「はいどうぞ」
そう言って、エウリュアレにサングラスを渡すオオガミ。
受け取ったエウリュアレはそのままかけると、
「どう? 可愛い?」
「可愛い可愛い。最高にキュートでクールだよ」
「ふふっ。そう? でも全く前が見えないから無理」
「だよね。真っ暗だからこっちからも見えないからね」
「……見えないのに褒めたわけ?」
「想像の中でも可愛いんだから実際に見ても可愛いでしょ」
「……最近変態性を隠さなくなってきたわね……誰に言われたの?」
「オリオン?」
「あの筋肉ダルマ、余計な事吹き込んだのね。今の状態でも嫌いじゃないけど、それはそれとして余計な事をしてくれたお礼はしないとよね」
「程々にね?」
「えぇ。ちょっと告げ口するだけよ。ふふっ、それが一番効果的なことは知っているもの」
「まぁ、うちには未召喚なんですけど」
「……直接手を下す方が早そうね」
「さらばオリオン……」
オオガミはそう言って、オリオンの無事を祈るのだった。
ついでに言えば今日で三周年。とはいっても何かあるわけではなく、いつも通りに進行しているこの感じ。手抜き間半端ないけどこんな感じの周年がこの作品らしいのです。でもデート会は手を抜かないで行きたい私です。頑張れ私ぃ。
え? 0時に投稿してた? 気のせいじゃないですかね(逸らし目