「で、しばらく色々見て回って気付いたわ。そもそも私引きこもる女神だから外出るのに向かないって」
「それにしては毎度マスターとお出掛けしていると思うのだけど」
「
「あれは次元が違うもの」
そう言って、目を逸らすエウリュアレ。
ミレニア城塞の広間でオオガミの膝の上を占拠している彼女は、オオガミに寄りかかり、
「そもそも私は平穏に島暮らしをしてただけなのよ? 女神だから人間みたいに何かを食べなきゃいけない訳じゃないし。ポセイドンがメドゥーサにちょっかいかけなければ平和に過ごせたのに、理不尽なアテナの怒りを買ってひっそりと暮らしたら今度は自称勇者に追われるし。平穏な暮らしを邪魔されただけの被害者じゃない?」
「前にも聞いたなぁそれ」
「五回以上は聞いていると思うのだが」
「でも貴方は気にしないでしょ?」
「そうだけども」
「正直貴方はなんでも許すじゃない」
そう言って、深いため息を吐くメルトに、エウリュアレは嬉しそうに笑いながら、
「ふふっ、もう堕ちてるもの」
「堕ちてなくても気にしないわよ。平常運転でしょ」
「誰に対してもこんな感じよね。違う反応する相手いるの?」
「私は見たこと無いけど」
「えっと、キアラさんにだけは別の反応だったわ」
「あれは一緒にされたくないわね」
「いや、違う反応っていっても、普通に勉強を教えてもらってるだけと言うか。変なことはないよ?」
「それが既におかしいと思うのだけど」
「アイツがそんな殊勝なことするわけ無いわ」
「でもおはぎを作るのはめちゃくちゃうまいからなぁ……おかげで料理レベル上がってるし」
「……ねぇ、この前大量に作ってたのって」
「練習の成果?」
「なるほど……まぁ、美味しかったからいいけど」
そう言って、複雑そうな顔をするエウリュアレ。
オオガミは首をかしげながら、
「なんだかんだ皆美味しそうに食べてるし良いんじゃないの? 危害も加えられてないし」
「大丈夫かしら……既に手遅れだったりしない?」
「エウリュアレはいつも確認してるでしょ」
「見えないところかもしれないし……」
「どこですかそれ」
「わかんないけど。なんか嫌なのよね、アイツ」
「合わないのかな……いや、誰も彼も合わなそうだけど」
「隔離されているのはそういうわけか……吾もあまり近付かなかったからな……」
「近付かなくていいです。私は絶対会いたくないので。というか、道理でマスターに近付きたくない時があったんですね。なんか嫌なんですけど」
「えぇ……理不尽……」
そう言って、オオガミは複雑そうな顔をするのだった。
引きこもりガチ勢……怖いなぁ……特にガネーシャさんが最強の引きこもりすぎて……