「あ~……今回は写真集だけですね」
「えぇ~? 動画撮れなかったか……お主が失敗するとかレアじゃな」
「いや、撮れたには撮れたんですが、流石に首は落とされたくないですから……」
「え、首落とされるんか……? 儂も狙われたりせんよな……?」
BBの言葉に、顔を青くするノッブ。
後ろで聞いていたカーマは呆れたようにため息を吐くと、
「それで、その写真集ってなんですか?」
「ん? あぁ、トゥリファスでのマスターとエウリュアレの記録じゃな。エウリュアレオンリーと、マスターオンリーと、ツーショット集の三つでな? 意外と売れるから毎度作ってる訳じゃ」
「……それ、バレたら殺されるんじゃないですか?」
「いや、わりと問題ない。エウリュアレはたまに怒るが、毎度マスターがなだめて買っていくから実質プラスじゃな」
「いいんですかそれ……」
「まぁ本人の許諾済みじゃし……」
「本人がいいならいいじゃないですか。どんどん売りましょう」
「ボロ儲けの機会じゃし」
「はぁ~……商魂逞しいですねぇ」
そう言いながら、見本の一冊を手にとって見始めるカーマ。
「……これ、どうやって撮ったんです?」
「そりゃ、影からこっそりとですよ」
「盗撮ですか……感心しないですね」
「えぇ~? それお主が言うんか?」
「言いますけど……そもそも、盗撮写真の写真集って凄いですよね」
「そうは言うが、わりとカメラ目線じゃからな? 彼奴ら気付いてるぞ」
「なんですかそれ……おかしいじゃないですか確実に……」
「そうは言っても、事実そうだから何も言えんのだが……」
「面白いコンビですね……あ、本当にカメラ目線……」
「アビゲイルさんなんて、見られ過ぎたから泣いて帰ってきましたよ。先に帰らせましたし、その時に私の首を飛ばす話が出てきました」
「マスターはともかく、エウリュアレはやりそうよな……」
「言ってたのもエウリュアレさんですしねぇ……」
「う~ん……笑えないところじゃな」
「首がポーンですもんね……笑い事じゃないですけど笑っちゃいますねこれ。非戦闘員アーチャー怯えてるとか正気じゃないんですが」
BBがそう言うと、ノッブは苦い顔をしながら、
「それ言ったら敗けじゃろ……最上位はエウリュアレになってるのは大体マスターのせいじゃし……」
「センパイには抗えないですしねぇ……多少影響を受けるとか、そう言うレベルじゃないですよこれ。エウリュアレさん上位世界とかわりととんでもないんですが」
「ま、儂は気にせんけどな」
「ノッブはそうでしょうけど……私としてはわりと障害が大きいというか……」
「何が辛いんです?」
「何かしたらすぐにセンパイに情報が渡るんですよ……」
「……報連相がしっかり出来てるんですね」
「そりゃまぁ、あの二人は夫婦扱いされること多いしな……下手なこと言うと殺そうとしてくる辺りそっくりじゃよ」
「あ、そこなんですね……」
「むしろそこ以外無いじゃろ。そう言う扱いとか、もはや平常運転だぞ彼奴ら。でなきゃ特異点に二人きりで残らんわ」
「会話とか、熟年の夫婦でしたよ? 観賞会します?」
「見たいですね。見ましょう」
「じゃあ流しますね~」
「……なんか忘れてる気がするんじゃけど、何だったかの?」
「忘れてるってことはどうでもいいことですよきっと」
悩むノッブにBBはそう言いながら、今回のデートビデオを再生するのだった。
さらばBB……