「……呼び出されて来てみれば、どういう状況だこれ」
「ん。緑の人か……ふむ、大方マスター辺りが呼んだか」
「いや、まぁそうだけども……で、どういう状況?」
そう言ってロビンが指差す先には、子供状態のカーマとアビゲイルが喧嘩をしていた。
バラキーはメープルシロップとバターの乗った分厚いパンケーキを食べながら、
「いや、吾も詳しくは知らぬが来たときには既にこうなっていてな……曰く、分厚いパンケーキと薄いパンケーキのどっちがいいか、らしい」
「なるほど……それで喧嘩ってわけか」
「うむ。正直どちらもうまいのだが……気に食わんらしい」
「へぇ……それ、誰が作ったんだ?」
「ん。カーマだ……というか、吾らの中で作れるのはヤツはカーマしかおらぬわ」
「あ~……それもそうか。それで、どっちの方がうまい?」
「ん~……それぞれというか……カーマの技術が上がっているからなんとも……分厚い方が食べごたえがあるが、薄い方は甘さが直に感じるからな……う~ん、なんとも言えぬ」
「そうか……まぁ、そのうち収まるだろ」
「うむ。吾もそう思ってる」
そう言いながら、モグモグと食べるバラキー。
ロビンはぼんやりと喧嘩の様子を見ていると、不意に二人がこちらを見て、
「「で、どっちの方が美味しかった!?」」
「え、吾が決めるのか……?」
「みたいだぞ? ほれ、答えてやれ」
「ぐむむ……それは難しい問題なのだが……カーマの菓子はうまい、というのは……」
「ダメです」
「……だろうな。うむ。真面目に考えるか」
そう言って、考え始めるバラキー。
期待のこもった目で見てくる二人に対して、バラキーは、
「吾は赤い人が作った、なんと言ったか……すふれぱんけーきの方が好きだな」
「うわっ、第三の回答するとかとんでもねぇな」
と、思わず口走るロビン。
事実、言われた二人はポカンと口を開けて呆然としていた。
すると、厨房の方からオオガミがやって来て、
「はいこれ。注文のスフレパンケーキ」
「うむ。やはりこのふわふわの見た目、感触がとても良い。口に含めばすぐさまとろけるのもまたよし。ということで、汝らも食え」
「畳み掛けるようなレビュー……そのまま差し出されて食わねぇヤツとかいねぇわな……」
「……一口だけですよ」
「えぇ、一口だけよ」
そう言って、恐る恐るといったようにスフレパンケーキをすくう二人。
そして一口含んだ瞬間に二人は目を見開き、
「新食感ですよこれは。革命です。どうやって作るんですかこれ!」
「パンケーキの概念が壊れるわ……! そんなっ……! こんなパンケーキって良いのかしら……!」
「……異世界チートものでこういうのよく見るよね」
「紫式部の図書館じゃねぇか」
得意気なバラキーと二人の大袈裟な反応を見て、オオガミは呟き、ロビンは突っ込むのだった。
後にカーマが教えてもらいに行くことは言うまでもないのだった……
なんかこの三人、なんと言うか、なんなんでしょうね? 一番ほのぼのしてる気がする……