今日のカルデア   作:大神 龍

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よぉマスター! 暇か!?(暇と言えば暇)

「よぉマスター! 暇か!?」

「モーさん。今日も元気だね? 今は暇だよ?」

 

 そう言って廊下で会ったのは、いつもの鎧ではなく霊衣の軽装を身にまとったモードレッド。

 やたら機嫌のいい彼女に一抹の不安を感じながらも素直にそう返すと、

 

「よっし、そんじゃあアメリカ行こうぜ! ドライブに最適って言うしよ!」

「あ~、速度制限無いとか良く聞くよね。広いし気分転換になるか」

「そうそう! んじゃ、さっさと行くぞ! メンバーは揃ってんだ」

「え、メンバー?」

 

 疑問を浮かべるオオガミを余所に、モードレッドは強引に連れていく。

 

 

 * * *

 

 

「で、このメンバーって訳なの? 人選誤ってない?」

「気にすんなって! ハハッ! とりあえず今は楽しけりゃそれでいいってんだ!」

 

 赤いオープンカーが荒野を爆走する。

 豪快に笑うのは、運転しているモードレッドに、助手席のアシュヴァッターマン。

 後ろで頬を引きつらせているオオガミは、隣で呆れた顔をしているシトナイの手を必死で掴んでいた。

 

「ハハハハハ!! これはいいぜ! 風になるって感じだぁ! 金時の野郎も言ってたが、風を感じるってのは悪くねぇ!」

「お! 話が分かるじゃねぇか! そうだよその感覚! 走って味わうのとはまた別なんだよ!」

「分かるぜオイ! こりゃオレも運転したくなるじゃねぇか!」

「そりゃ次回だな! 今回の運転手はオレ様だ!」

「「ヒャッホウ!!」」

 

 そう叫びながら、テンションがどこまでも上がっていく二人。

 後ろは後ろで、

 

「はぁ……これ、どこまで行くの?」

「飽きるまでじゃない? そろそろ慣れてきた……」

「あれ、手を離しちゃうの?」

「いつまでも掴まりっぱなしでいるわけにもいかないし、流石にね?」

「そう? 私は全然構わないけど。お姉ちゃんっぽくない?」

「おっと。ここにもお姉ちゃん願望持ちがいたか」

「イルカ聖女とは違うけど……強制兄弟生成パンチなんてしないから」

「そうだといいなぁ」

 

 そう言って、遠い目をするオオガミ。

 すると、前から、

 

「あ、そうだ。そういや来る前にエミヤから届けもんがあってよ。こっちで食えってさ」

「あ? これ開けりゃいいのか?」

「おぅ。配ってくれ。オレは運転してっから流石にな」

「安全運転大事だわな。ほれ、受け取れマスター」

「ほいっと。おぉ? 流石エミヤさん! これはいい仕事!」

 

 渡された紙袋から出てきたのは、紙に包まれた、どこか馴染みのある感触。

 オオガミが目を輝かせながら開くと、

 

「何? あ、ハンバーガーだ。美味しそう。私も貰って良いの?」

「良いぜ。ただ、一人一つだかんな。二つ食ったらあとで殺す」

「うわぉ物騒。食べ物の恨みは怖いので返すね」

 

 そう言って、一人一つ取ってから前に返すオオガミ。

 隣を見れば、既にハンバーガーにかぶりついているシトナイがいて、それに釣られるようにオオガミもかぶりつく。

 

「んっ! んまいっ! このふわふわなバンズの奥にあるジューシーで肉厚なパテがうまいだけじゃなくて、それを引き立てる酸味の強いケチャップと甘味のあるピクルス! それをトロリと溶けたチーズがまろやかに包み込んでトゲトゲしてないのが飽きを感じさせそうにない! しかも食感を際立たせるレタスの量も多すぎず少なすぎず、更に大きすぎず小さすぎずのちょうどいい塩梅。料理の神はここに君臨せり! この荒野の風景と合わさってうまさ二倍、いや三倍だよこれは!」

「テメェマスター! わざとやってんだろそれ!」

「そう言う食レポって、刺さるよね。特に美味しい匂いの中だと」

「食い終わったら交代するか?」

「あぁチクショウ! オレが食い終わるまで預けてやらぁ!」

 

 そう言いながら、苛立たしさを表すように、モードレッドは更に強くアクセルを踏むのだった。




 実際オープンカーとか乗ったことないんですけど、物食えるような環境じゃないと思うんですがどうなんでしょ。まぁうちではシトナイが頑張ってることにしますけど。風避け的な。

 しかし夜中にこのメシテロは許されない。自分に刺さる……

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