「はぁ……酷い目に遭いました」
「まさか三日も目覚めぬとは思わなんだ。おかげで菓子のストックも切れて……」
「え、本当ですかそれ。ストックしてたと思うんですけど」
そう言って、盛大にため息を吐くカーマ。
バラキーは神妙な顔で頷きつつ、
「吾にも不思議だが、何よりも不思議なのはストックの半分近くに例の高濃度魔力が入ってたことだな。吾でなかったら生活に支障が出ていたに違いない……」
「どうして全部食べちゃうんですか! イタズラ用のお菓子まで食べられてるとか思いませんよ普通!」
「厳重に鍵がかかっていたが、それはまぁ、宝具でちょちょいと。よくわからん効果は解除すれば安全というわけだ」
「強化解除の悪用ですねそれは……! なんでトラップに強化解除が効くのか突っ込みたいですけども!」
そう言って、悲鳴をあげるカーマ。
だが、バラキーはいたって真面目な顔で、
「とりあえず吾の分が欲しい」
「……最近苦情が来ているのでバラキーの分は無しです。というか、当分お菓子は無しです。流石に倉庫の限界です。リソースは無限じゃないので。それとも、バラキーが調達してきます? それならすぐに作れるようになると思いますけど」
「……菓子が、無い?」
「……えぇ、無いです」
「……まったく無いのか……?」
「食べ尽くされましたから」
「……マスターは作っているが……?」
「あれは少量なので。比率で言えば2:8。マスターが2です。むしろ8割も使ってるのに三日で食べ尽くされるのは納得いかないんですが。自重するか材料を採ってくるかしてくださいよ」
「……吾、お菓子難民か」
「私が作れないですしね?」
「……そうか……」
そう言って、絶望に染まった顔でうつむくバラキー。
カーマはそれを申し訳なさそうな顔で見ていると、
「よし。決めた。吾ちょっと材料を採ってくる。やはり狩りをするべきだと思うからな。うむ」
「……何故でしょう。めちゃくちゃ嫌な予感がするんですが。何をする気ですか」
「何をと言われてもな、大体はダヴィンチに聞けば分かるだろう。ただレイシフトをしたところで、持ち帰ることは出来ぬだろうしな」
「行動力だけはありますね……まぁ、そうしてくれた方が助かりますけど。レパートリーも増やしたいですし。お願いしましたよ」
「うむ、任せろ。吾がただ菓子を食っていただけだと思わぬことだな」
「えぇ、ちょっとだけ期待してますね」
「ククク。あまりの活躍に恐れおののくがいい!」
「そうですね。気をつけていってらっしゃい」
「うむ。いってくる!」
そう言って、バラキーは元気に出ていくのだった。
はたしてバラキーは無事に帰ってこれるのか。待て次回!
あ、邪ンヌ爆死しました。もうやんねー。