「ふぅ……雑に編成するのは構わないんだけど、ねぇエウリュアレ? その気の抜ける感じの、やめてもらって良いかしら」
「あら、邪魔かしら」
そう言って、不思議そうに首をかしげるエウリュアレは、現在オオガミの両腕を掴み、さもオオガミが抱き締めているかのようにしてオオガミを拘束していた。
「あのね、部屋の中でするのは構わないわ。誰も見ていないもの。でも、外でそれをするのはどうかと思うの」
「……いつも通りって言われるのだけど」
「だとしても、よ。何より、根本的にいつもより過剰でしょうが」
「むぅ……流石にメルトは誤魔化せないわね」
「待ってエウリュアレ。そもそも誰も誤魔化せてない」
「えぇそうよ。他のサーヴァントと一緒にしないで。私まで誤魔化せるわけないもの」
「さては聞こえてないなこれ。ノリノリだよこの二人」
呆れるオオガミを無視しながら、エウリュアレは真剣な顔で考えつつ、
「このままじゃ私が過剰に接してるのがバレちゃうわね……」
「最初からバレてるしカーマとか一番最初に突っ込んでたでしょ」
「ふふっ、残念だけど、たった一つの手段を除いて対抗する術はないわ」
「いやもう手遅れなのだが?」
「そんな……一体どんな方法があるって言うの?」
「律儀に聞くけとなんとなく想像できるし出来るなら遠慮したい」
「そう、簡単なことよ。私にも抱きつかせなさい!」
「「な、なん
驚く二人。何故かドヤ顔のメルト。
オオガミはそこはかとなく想像がついていたが、何より想定外だったのはメルト自身が言ったことだった。
「メルトが自分からそんなこと言うとか……一体何があったんだ……」
「別になにもないわ。ただ、エウリュアレが随分と気に入っているようだから、楽しいのかと思って。今さら私一人くらい構わないんじゃない?」
「いや流石にこれ以上は重量オーbぐふっ」
鋭く突き刺さるエウリュアレの肘。まるでハンマーのようにオオガミの腹部を打ち抜き、しかし両腕はしっかりと押さえることで苦悶の表情のままその場に立たせる悪魔のような女神の所業。
そんなオオガミには目もくれず、エウリュアレは残念そうな笑顔を浮かべると、
「仕方ないわね。そんなことを言われたら断れないわ……」
「嘘だよね。昨日ノッブが同じ脅し方をしたら全力で脅し返してたよね。目の前でやってtごふっ」
致命的な鈍い音が体内から聞こえたオオガミは、しかし根性だけでその場に立ち続ける。
倒れれば誰よりも先にエウリュアレが何かをしてくると言う予感がするため、わりと必死だった。
「それじゃあ、そういうことで」
「えぇ、そういうことで」
どうやら意見は取り入れられないようだ。と思うと同時に、メルトが消え、背後から衝撃が来る。
多少よろけたもののなんとか踏みとどまり、そして、
「それじゃあ、しばらくよろしく」
「なんで揃いも揃ってこういうことしてくるんですかね」
前後を取られ、オオガミの逃げ場はなくなるのだった。
エウリュアレの暴走はついにメルトにも影響を及ぼす……大体エウリュアレが嫉妬心を煽るのがいけないという説もあるが、真相は謎に包まれている。