「ふぅ……温泉いいわね。またどこかにあったら来ようかしら」
「いいわね。でもオオガミはどうしましょうか……」
「置いてきても大丈夫でしょ」
「珍しくエウリュアレさんが雑ですね」
そんなことを話していると、バラキーが何かに気付く。
「ん。そろそろか?」
「え? あぁ、そうみたいね。来たみたい」
「なんか二人で通じあってるように見えますけど、おおよそあれですね。マスターが来たって感じですか」
「そういうこと。まったく、温泉から出たばっかりなのに」
「でも距離あるんでしょ?」
「残念だけど、BBの範囲内。私よりもバラキーの方が先に反応したもの」
「流石エウリュアレさん。ご名答です!」
そう言って、当然のように門から現れるBBとオオガミ。
エウリュアレは他に出てこないことを確認して、
「あら、ノッブ達は?」
「とりあえず軍の指揮をノッブに任せてきたから、放置。無理そうなら助けに行く感じで」
「そう。お疲れ様」
「うん。ありがとう」
そう言って、一拍。
そして、先程までの顔とはまるで違う満面の笑みを浮かべながら、着ている浴衣をアピールしつつ、
「どうかしら。似合っていると思うのだけど」
「最っ高。これ以上無いほどに良し。それと、髪型がポニーテールになってるけど、自分でしたの?」
「いいえ? カーマにしてもらったわ。最初は結ばずに流していたのだけど、温泉卵を食べるときにね。『そのままだと食べにくそうだから』って言ってやってくれたわ。流石バラキーの保護者」
「エウリュアレ? 子供扱いされてるけど怒らないの?」
「面倒なことをやってもらえるなら気にしないもの」
「あぁうん。そうだったね。忘れてた」
もはや慣れてしまったエウリュアレの態度に、オオガミは苦笑いをしながら答える。
エウリュアレは嬉しそうな笑みを浮かべつつ、
「それで、私たちを引き離した気持ちはいかが?」
「うん。密着のし過ぎは逆に良くないね」
「えぇ。それに関しては私とメルトも同意するわ」
「本気で無理。どうしてあの時大丈夫だったのかまるで分からないわ。正気を失ってたんじゃない?」
「エウリュアレさんはともかく、メルトさんまで同じくくっついてたのはビックリだったわ」
「吾は別に気にならなかったが……」
「バラキーはどういう状況でも気にしないじゃないですか……」
「バラキーは最近お菓子の事しか考えてませんしね」
「甘いものはよい。いくらでも食える……」
「そういうことを言っているんじゃないと思うのだけど……」
わりとオオガミ達に興味がないバラキーは、他の三人に言われても首をかしげるだけなのだった。
温泉に入ってるシーンは無情にもカット。でも風呂上がりって、なんというか、その……いえ、何でもないです。