「さて。そろそろ時間がなくなってきたがどうするマスター。わりと終わっとらんぞ」
「大丈夫大丈夫。いざとなったらリンゴかじるし、高難易度はエウリュアレが令呪三画で秒殺する」
「あら、私は休みかしら」
「メルトは……予備アタッカーかな?」
そう言うオオガミに、メルトは少し不満そうな顔をすると、
「最近出番がないと思うのだけど」
「まぁ確かに。メルトは強いから入れたいんだけどね。でも急いでいるときだけだから」
「じゃあ急いでいないわけ?」
「まぁね。それに、メルトはラムダの方で頑張ってもらってるし」
「……それはそれ、これはこれじゃない。こっちの霊基で戦いたいときもあるのだから」
「う~ん、それじゃあ余裕があったらメルトで速攻もしてみようか」
「えぇ、そうしなさい。圧倒的速度で融かしてあげる」
「それは楽しみだ」
そう言って、楽しそうに笑うメルトに笑い返すオオガミ。
そして、呆れた顔で見ていたノッブを見ると、
「それじゃ、魔王城に向かう準備をして。さくっと終わらせに行こう」
「そうじゃな。遊んどるエウリュアレに声をかけてくるか……彼奴に言えばあとは勝手に広まるじゃろ」
「何そのエウリュアレ中心論」
「何もなにも、ただの事実じゃし……」
「大体話の広まる中心はエウリュアレよ? いつものメンバーは」
「そう? カーマもわりと中心に近いと思ってたけど」
首をかしげるオオガミに、ノッブは不思議そうな顔で、
「儂ら自由組はそもそも三分割じゃな。マスター派、技術部、バラキー派で出来てるんじゃよ」
「あれ、バラキー派閥生まれてますけど」
「うむ。技術部も一応別枠じゃからな」
「そこはまぁうん。で、カーマは?」
「もちろんバラキー派閥じゃよ?」
「なるほど? じゃあ、主に話の発生源で広める広告塔としてエウリュアレなわけだ」
「そうそう。何気にマスターに近いレベルで広告塔な訳で、特にこういう場面においてはエウリュアレの方が役に立つわけじゃ」 「おかしいね? なんで特異点での方が無視されるのかな?」
「まぁ、アビーがよく懐いているもの。引きずり出して聞かせるのよね」
「アビーそんなことしてたの?」
「風評被害もいいところだと思うわ!」
「うわでた」
噂をすれば影……否、コズミックホラー系幼女アビゲイル。
当然のごとく門からするりと現れ、両手を腰に当てドヤ顔で、
「もうエウリュアレさんには伝えてきたからすぐ帰ってくるわ!」
「マジか。ノッブなんかよりよっぽど優秀だね。アビーは昇格です」
「わーい!」
「横暴じゃろ今のは~……それ許されるか~?」
だが、ノッブの嘆きは見事にスルーされ、すぐに集まったエウリュアレ達を連れて魔王城に向かうのだった。
令呪使えばエウリュアレが秒殺してくれるって!! 安心できるなぁ!!