「カルデアの方が落ち着くな……」
「見慣れた場所で使い慣れた場所ですしねぇ。やっぱ長期旅行は良くないですって」
「特異点を旅行扱いか」
ノッブとBBの会話に突っ込むオオガミ。
その隣にはいつもいるはずのエウリュアレの姿もメルトの姿もなく、二人は首をかしげる。
「あれ、センパイ。エウリュアレさんたちはどうしたんです?」
「あぁ、うん。お土産配ってくるって。一緒に行こうとしたらここで待ってろって言われてね。ちょうど暇してる」
「ほぅ……土産ねぇ……およそ相手は想像できるが、まぁ、放置しておくべきじゃな」
「そうだよね。詮索しない方が身のためだよね」
「うむ。どちらかと言うとエウリュアレ達が死ぬ」
「うん?」
首をかしげるオオガミに、しかし力強く頷くBB。
ノッブはオオガミの反応を見て首を振りつつ、
「本気で分かってないなら才能じゃが……流石にそれはないじゃろ。状況くらい理解していると思うが」
「そりゃ、あそこまでストレートにぶつけられたらね。正直そこまでのことをした自覚もあるし、大変困っているところではある」
「そう言われても儂らの出来る範囲じゃないしな。お主が自力でどうにかする問題じゃろ?」
「まぁ、そうだけどさ……」
「ま、悩んだらまた相談しに来ればよい。聞くだけなら聞いてやる。話すだけでも整理は着くしな」
「……うん、そうする」
そう言って、会話が止まる。
するとBBが、
「センパイ、お菓子作らないんです? カーマさんは和菓子研究始めましたけど」
「う~ん……どうしようか。特にエウリュアレ達からの要望はないんだよね。それに、すぐ作れるようなのも無いから二人が戻ってくるまでに終わるかわかんないし」
「そう言うところは律儀ですよねぇ……」
「いや、こやつの場合中心が二人なだけじゃろ。面倒なやつめ」
「褒め言葉として受け取っておこう」
「どこが褒められてると思ったんですか……」
「エウリュアレとメルト想いってところ」
「あからさまな問題点じゃろ」
「問題児ですねぇ」
「いいじゃん別に……」
「悪いとは言わんがな」
「えぇ。わりと病的です」
「酷い言われよう……」
ため息を吐き、机に突っ伏すオオガミ。
そこに、
「オオガミはいる?」
そう言って入ってくるエウリュアレとメルト。
BBはすぐに手を振りながら、
「いますよ~。どうぞ持ってってください」
「えっ、扱いひどくない?」
「面倒ごとになるよりは素直に差し出すべきじゃろ。本人も嫌がっとらんし」
「まぁいいけどさ……」
「いえ、普通に私たちが行くからいいわよ……」
そう言って、オオガミの正面に二人は座るのだった。
寝落ちした……寝落ちしてしまった……