「……ご機嫌だね?」
「あら、そう見える?」
ふふふ。と笑うエウリュアレ。
オオガミはお風呂上がりでまだ少し水気を含んでいるエウリュアレの髪を梳かしながら、
「かなりご機嫌みたいだね。何かあった?」
「いいえ。これといったことは特になにもないわ? でもそうね。強いて言うなら、貴方がいるってことくらいかしら」
「……そう言うことをサラッと言うんだからエウリュアレは恐ろしいよね」
「同じくらいこっちが恥ずかしくなるようなことを言ってくるじゃない。これでおあいこよ」
「エウリュアレが恥ずかしがってるのなんか滅多に見ないんだけど」
「見せられるわけないでしょ。当然じゃない」
「そんな顔にされるこっちの身も考えてほしい」
「あら、嫌だった?」
「まさか。恥ずかしくなるくらいに嬉しいだけ。いくらでも聞けるし何度でも言わせたいことだってあるよ」
「……貴方も大概恥ずかしいことを言うわよね」
「そりゃまぁ、エウリュアレ様直伝ですし。向けられてるんだから返す方も相応じゃないとじゃん?」
「どこからそんな知識を……」
「それは守秘義務です」
そう言って、にっこりと笑うオオガミ。
エウリュアレからは見えてはいないが、長年一緒だからか、そんな顔をしているのだろうなというのを感じつつ、
「今日は三つ編みで」
「解いたときにウェーブがかっちゃうから嫌なんじゃなかった?」
「今日はそう言う気分なの。それに、そうなったとしても直してくれるのがいるしね?」
「……まぁいいけど」
そう言って、髪を編み始めるオオガミ。
「……ねぇエウリュアレ? これ、アナと同じになるけど大丈夫?」
「えぇ。構わないわ。むしろそのつもりだもの」
「そう? じゃあそのつもりでやるか」
そう言って、手際よく編むオオガミ。
エウリュアレはそれを感じながら、
「ねぇオオガミ? もしかしなくとも、アナの三つ編みをよくやってるでしょ」
「……目が怖いですよエウリュアレ様」
「聞いているのだけど」
「……まぁ、手持ち無沙汰でエウリュアレがいないときにたまにね」
「ふぅん。そうなの……別に構わないけど、楽しいかしら」
「まぁ、最終的にはここに活かされてるからね」
「じゃあ許すわ」
「許す判定大分雑だね」
「だって、貴方はなんだかんだ言っても最終的に私のところに来るもの」
「凄い。否定できないね」
「ふふっ、そうでしょ?」
そう言って笑う二人。
すると、部屋の扉が開き、一目でお風呂上がりだとわかるメルトが入ってきて、
「楽しそうね。私の髪も梳かしてもらえるかしら」
そう言って、オオガミの隣に座るのだった。
気付いたらめっちゃ甘くなってる……不思議だなぁ……