「あ~もう! どうしてこんなに絡まってるんですか!!」
「知らぬわ! 吾はこの程度気にはしない!」
「気にしてください!!」
そう言ってバラキーの髪を梳かすカーマと、必死で抵抗するバラキー。
櫛を通す度に引っ掛かり、たまに枝や砂利が出てくるのは、流石のカーマも驚きのあまり硬直するほどだった。
「まったく、お風呂入る前に色々落とさなきゃいけないとか初めてですよ! どこでこんなにしてくるんですか!」
「いつも通りにしていただけなのだが!?」
「珍しいくらいの大暴れですよ! どこ行ってきたんですか!」
「久しぶりに散歩でもしようと思って未開の森の中を走り回っていただけだが……」
「散歩というにはレベル高くないですか……正気を失ってますよ……」
「吾を他のサーヴァントと同じにするな。吾は鬼ぞ。そう言うことだってする」
「……そうですか」
「うむ。そうだ」
そう言ってドヤ顔をするバラキーに、カーマは呆れた目を向けながら、
「じゃあ、おやつはしばらく作りません」
「殺生な!?」
容赦のないお菓子禁止に大ダメージを受けるバラキー。
カーマはそれを見てにっこりと笑いながら、
「嫌だったら大人しくしていてください」
「うむ。吾は逆らわんぞ……髪が引っ張られて痛くても、まぁ、我慢できないわけではないしな……!」
「偉いですよ~。しっかり我慢できていたら新作スイーツあげますからね」
「本当か!? くふふ……それは楽しみだな」
「えぇ。ついでにお風呂にも入ってくださいよ。汚れたままで食べさせませんからね」
「むぅ……なんというか、カーマにはこう、従わなくてはいけないような気がするのだが……なぜだ……?」
「知らないですよ。むしろそう言われるの、かなり心外なんですけど」
「なんとなく思っているだけだからな……まぁ、おそらく菓子をくれるからだろう。うむ。そう言うことにしておこう」
「そうしておいてください……これ結構絡まってますね」
櫛だと引っ掛かりすぎるので、手櫛で邪魔なものを取り除いていくカーマ。
バラキーは全力で頭が動かないようにしながら、
「まぁ、何度か転んだしな」
「なんですかそれ。転ぶ要素あります?」
「戦闘シミュレートだからな。転んだというより転ばされたというべきか」
「なるほど。それは確かに色々絡まりますね」
「うむ。正直無傷で勝てなかったのは悔しいがな」
「そう言うこともありますって。今度は私も行きますね」
「そうだな。次も怒られるのは嫌だからな。頼んだ」
「えぇ、誘ってくださいね」
バラキーはそう言って楽しそうに笑い、カーマは呆れたように苦笑するのだった。
お風呂上がりお風呂上がりと来てバラキーは入る前に落とされる。そしてもはやお母さんと化しているカーマ……カーマは苦労人だなぁ。
もう寝落ちしたらしょうがないんでマイペース貫きますよ。