「ボードゲームねぇ……」
「正直タイトルから真っ先に連想したのはジュマ◯ジを思い出したよね」
「特に最初がすごろくだったものね」
うんうん。と頷くオオガミとエウリュアレ。
だが、メルトは不満そうな顔で、
「ボードゲームって苦手なのよね」
「……手を使うから?」
「そ。頭を使うって言うのは全く気にならないのだけど、手を使うものは不向きなの。まぁ、補助がいるなら出来ないこともないけど、それはやっぱり違うじゃない」
「まぁ、分かる。手助けされないと出来ないとか、不満だよね」
「えぇ、そう。ダンスゲームなら良いのだけど」
「ダンス系なら得意だよね。まぁ、専門はバレエだけど」
「ラスベガスで見せたように、フィギュアスケートも出来るわ。今度は二人で滑りましょうか」
「いいの?」
「ダメよ。譲らないから」
そう言って、オオガミの右腕を抱きしめ、メルトに対抗心剥き出しの目を向けるエウリュアレ。
メルトはそれに面を食らったように目をパチクリさせると、
「珍しいわね。そこまで我を出すの」
「つい最近もあったよ」
「……それもそうね。なに? 精神も見た目相応になってしまったのかしら」
「それはあり得るかもしれない」
「バカなこと言わないでほしいのだけど」
そういう彼女の目はいつもの呆れたような目をしていた。が、一向に腕は離そうとしない。
それを見て、メルトはため息を吐くと、
「トゥリファスの時に譲ったのは、後で私もしてもらうためなのだけど、そこは理解していたのかしら」
「えぇ、分かってるわ。でも私だってスケートをしてみたいわ。二人だけなんてズルいと思わない?」
「え、そっち?」
「……しょうがないわね。それじゃ、三人でしましょうか。二人は練習だけど」
「それなら構わないわ。楽しみね」
「自由すぎるなこの女神」
「自由の化身よね」
「あら、そうなるようにしたのはオオガミよ?」
「う~ん自覚しかない」
昔はもっと大人しかった気もするよね。と言うオオガミに、エウリュアレはドヤ顔で、
「つまり今の私になったのは大体こいつのせいよ」
「そう……面倒にしてくれたじゃないの」
「正直誰がエウリュアレがこうなるだなんて思えるだろうか。昔はめちゃくちゃツンツンしてたんですよ。それが今やデレデレ。まさしく本来のツンデレ形と言えます。このデレデレ具合に若干の恐怖を覚えつつも全く嫌じゃないのはエウリュアレだからでしょうか。いやまぁそんな気もしてきた」
「なんか連鎖的にこっちもダメになってるんだけど……というか、本当にそんな時期があったの? あったようには全く見えないんだけど」
「昔は容赦なく矢を射たれたけど、今はそんなこと滅多にしてこないし。時間の流れとは恐ろしいものです」
「……昔の貴女を見てみたいわね」
「記録は誰かがとってるんじゃない? 帰ったら探してみて?」
「そうするわ。さ、さっさと進みましょ」
そう言って、三人は新たなゲームを求めて歩き出すのだった。
サイコロ二つで最初の面をクリアしたときに首をかしげた私。こんなもんなのか……?
人狼だけはちょっと納得いかない……なんというか……なんなんでしょうね……