「…………」
「…………」
食堂にて、開いた口が塞がらないというのを文字通り体現しているバラキーとカーマの横を通りすぎるのは、ティラノサウルス。
あまりの事態に思わず食べようとしていたクッキーを落とすくらいに動揺していたバラキーだったが、すぐさま立ち上がり、
「おい! 汝は何者だ!」
「■■■□□■■■?」
口を開いても、出てきたのはうなり声のようなもの。
それを間近で聞いたバラキーは、しかし、
「……うむ。全くわからん。汝、再臨とかで人形になれぬのか?」
「■■■……」
そう唸ったかと思えば、ティラノサウルスを中心に炎が吹き荒れ、炎が消えると同時にそこには女性が立っていた。
「ふむ……これでよいか。して、そなたは?」
「吾を知らぬと? 吾こそは大江山の首魁、茨木童子なるぞ。汝が何者かは知らぬが、しかし鬼の気を感じる……」
「茨木童子……? 酒呑童子と共に都を騒がせたというあの茨木童子と?」
「なにやら吾を知っているようだが、吾は汝のことなど知らぬぞ。名乗れ」
バラキーが名乗ると、彼女は一瞬目を見開き、
「そうか……ここには身共の他にも鬼がおるのか……では、名乗らせてもらう。身共は信濃戸隠の
「ほぅ……鬼女紅葉とな。ふむふむ。しかし汝のその反応。どうやら都に良い思い出はなさそうだな」
「……あまり、都の話は好かぬ」
「……まぁ、深入りするようなことでもない。して、汝はバーサーカーか?」
「そうだが……何かあると?」
「うむ。ここでのルールなどの説明だな。もちろん聞かずともよいが、その末路は悲惨なものだ。ルールの穴を突くにはルールを知らねばならない。知恵あるものならば意味は分かると思うが、どうだ?」
それを聞いた紅葉は、少し考えると、
「……なるほど。いわゆる教育係というものか。まぁよい。そなたが裏切らぬ限り聞くものとしよう」
「くはは! 裏切りにも怒りをもつとは実に良い。実に吾好みよ。カーマ! シミュレーションルームに行くぞ!」
「え、面倒なんですけど……」
「……エウリュアレに報告するが良いな?」
「……あ~、急にシミュレーションルームに行きたくなりましたね~。行きましょうバラキー。いつもに設定で良いですか」
「敵は要らぬからな~」
「はいは~い」
そう言って、食堂を急ぎ足で出ていくカーマ。そしてバラキーは紅葉に向き直ると、
「ではついてこい。ここだと話せぬこともあるからな」
「よろしくお頼み申す」
「……汝、もしかしなくとも都で暮らしていたか」
「……その話も、あちらでするというのでどうじゃ」
「くはは。うむ。それで良い。ではいざ行かん!」
そう言って、二人はシミュレーションルームに向かうのだった。
インパクト強すぎて即狙いにいきましたよ。個人的にはボイジャーより優先度高かったです。まぁ、性能的には微妙なんですけども。