「じゃ、何か聞きたいことはある?」
新人のエリセを連れて、カルデアを一周したオオガミ。
エリセは少しためらってから、
「じゃあ、一つ。いつもそんな感じなの?」
「……大体こんな感じ」
はぁ。とため息を吐くエリセ。
オオガミは左右を確保しているエウリュアレとメルトを見て苦笑しながら、
「これはまぁ、日頃の行いってことで」
「そうなんだ……正直、私としてはどうなのかなって思うんだけど」
「まぁ、本人達の意思のもとなので。これはセーフじゃないですかね」
「どうだろう。本当にそうかは聞かないとわからないかな」
「……だそうですけど、どうするんですかお二人とも」
聞かれた二人は、互いに顔を見合わせ、
「そうねぇ……とっても答えづらい質問だもの」
「そうねぇ……護衛って訳じゃないもの」
「どう答えれば良いかしら」
「何か答えはあるかしら」
そう言って、にやにやと笑う二人。
オオガミはそれを見て頬を引きつらせながら、
「こんな風にからかいからかわれる関係ってことでどうですか」
「状況的に正解だけど気持ち的にはバツ。でもその顔が見れたから及第点ね」
「その本気で焦ってる顔だけは評価するけどそれ以外がダメね。でも楽しめたから良いわ。これが答えて良いかしら?」
「とても納得しがたいですけど、まぁ、アナタ方がそれで良いのなら良いのだけど……」
「じゃあ良いってことで」
「及第点なのに元気よね」
「きっとそれに満点の解答をしたら誰かに殺されるからね」
「残念。まぁいいわ。それで、エリセと言ったかしら。貴女はどう見えるの?」
そう言って、微笑むエウリュアレ。
聞かれたエリセは真剣な顔で悩み、
「そう、ですね……女性サーヴァントを侍らせて喜んでいるようにしか見えないです」
「凄い的確に突いてくるね」
「どうかしら。どちらかというと私たちの世話を一人でしているのよ?」
「……むしろこっちが逃げられると困るわね」
「「…………」」
「今さら取り繕おうとしなくて良いから。別に逃げないし逃げる理由もないから!」
いつもより多めに密着しようとしてくる二人を引き剥がしながら言うオオガミ。
それを見てエリセは笑いつつ、
「やっぱりキミには人を寄せ付ける何かがあるのかもね」
「えぇそうね。だからこんな大所帯なんだもの」
「嘆きの声をあげてるのは何人かいるけどね」
「おっと今その話するんですかメルト様」
「……生き残ったら貴方だけのステージを見せてあげるわね」
「そういう物で釣るのはよくないと思います!」
なにやら黒い笑顔を浮かべているエリセを見て、オオガミはその場を逃げ去るのだった。
過労死組は是非もないから……許して……許して……