「ふぐっ……うぅっ……」
「情けない……情けないです……誰にも見られたくない……」
「……貴女達、何してるのよ……」
しくしくと泣いているバラキーと、顔を隠して誰にも見られまいとしているカーマ。
その二人に話しかけたシトナイに、
「聞かないでください……」
「カジノで全て没収された……」
「ちょ、バラキー言わないでくださいそんなこと!!」
「……え、なに、カジノで大負けしたってわけ?」
「うむ……吾もカーマも、最初は勝っていたがだんだんと負けて、意地になったら全部持ってかれた」
「典型的な転落……でも、なんでカーマも? 貴女、こういうところではマトモだったと思うのだけど」
「……バラキーの仇討ちに向かって返り討ちと言うやつです」
「……何も言える事はないわ……」
呆れを通り越して、いっそ哀れに見えてきたシトナイは、
「はぁ……どこかごはんが美味しいお店を知らないかしら。出来れば案内してほしいのだけど」
「うむ……構わぬ……が、少しQPを取ってくる……」
「あれ、残ってるの?」
「まぁ、手持ちのを全て溶かしただけなので……預け入れてたものにも手を出しかけてましたけど」
「流石に吾は貯蓄までは使わんわ……カジノよりもうまいもの。吾にとってそれは変わらぬし、カーマにも食わせて覚えてもらうからな」
そう言って、QPを取りに行くバラキー。
「……面倒そうな関係ね」
「これでも中々、居心地はいいんですよ。料理作ってるだけでいいですし」
そう言うカーマに、シトナイは首をかしげながら、
「料理、得意なの?」
「まぁ、それなりってところです。流石に職人ほどではないですが、一般的な家庭料理の部類でならある程度は再現できますよ。と言っても、バラキーが要望しない限りしませんけど」
「ふぅん……仲良いのね」
「まぁ、なんだかんだ召喚されてからほとんど一緒にいますしね。貴女も何かあるんじゃないんです?」
「……霊基の記憶に、彼女との出会いがあったのかも知れないわね。今の私には預かり知らぬところではあるのだけど」
「そうですか。で、今の貴女からしてバラキーはどうなんです?」
「ん~……かわいい妹みたいよね」
「……分かってるじゃないですか」
そう言って二人が笑っていると、帰って来たバラキーが神妙な顔で、
「むぅ……吾がいないうちに何か面白いことでもあったか?」
「いいえ? そんなのないですよ」
「えぇ。何にもないわ」
首をかしげるバラキーに、二人は楽しそうに笑うのだった。
バラキーが没収されたくらいで破滅するわけ……いやうちのバラキーならあり得るな?