「……バニ上も馴染んでくれたみたいだね」
「休憩室の一角をカードゲームで占領するくらいにはね」
「エウリュアレは挑まないの?」
「理由がないもの」
そう言って、オオガミに淹れさせた紅茶を一口飲むエウリュアレ。
だが、オオガミは不思議そうな顔で、
「じゃあカジノキャメロットの時は理由があったわけ?」
「当然でしょ。でなきゃあんな不利な戦いはしないわ」
「まぁ、そうだよね」
そう言って、ラスベガス土産のチョコレートを食べるオオガミ。
するとどこからともなくアビゲイルが現れ、オオガミの脇腹にえぐるような頭突きを叩き込みながら、
「マスターマスター! 聞いてくださいな!」
「ごふっ! ど、どうしたのアビー……」
「えぇ、えぇ! 先程私、ノブナガさんとBBさんの工房へ行ったら、悪だくみをしているような声が聞こえたの! あれは絶対に何かをするつもりなんだわ!」
「……いつもの事じゃないの?」
「いいえマスター。あれはいつもより3倍はすごい悪だくみよ。私には分かるわ!」
「……確かにそれは不安要素だね」
「マスターもそう思うでしょう!? だからマスター、調査にいきましょ!」
「え、今日はあのイカサマ集団のタネを明かすつもりだったんだけど」
「イカサマと工房どっちが大事なの!?」
「イカサマテクニック」
「そんなにハッキリ!?」
悲しそうに嘆くアビゲイルに、オオガミは苦笑しながら、
「そもそも、あの二人は悪だくみの1割も実行してないし、実行しても9割失敗してるから問題ないって」
「そうかしら……エウリュアレさんはどう思う?」
「簡単よアビー。失敗でも成功でも楽しいことに代わりはないから放っておけばいいの。大騒ぎの方が楽しいに決まってるでしょ?」
「なるほど! 流石エウリュアレさんね!」
「えぇ。だから一緒に見ていましょ」
「分かったわ!」
「え、分かっちゃうの? マジで?」
エウリュアレの言葉に対して素直に受け入れるアビゲイルを見て困惑するオオガミ。
エウリュアレの言動がメドゥーサと違うのは、妹分と実妹の差なのだろうか。
そんなことを考えていると、
「マスター、ここにいましたか」
「あれ、アナ? どうかしたの?」
「えぇ。先程マシュさんに会いまして、マスターを呼んでくるように、と。その時ラムダさんもいましたので、関係あるんじゃないかと」
「……そのうち行くよ」
「はい。そう言ったときは、力ずくで連れてくるようにと言われているので」
「……ここは逃げさせてもらうね!」
「逃がしません!」
そう言って、マシュの威光のもとで迫り来るアナから、オオガミは全力で逃げるのだった。
いやぁははは。まさかスタァから貰った石30個をライネス師匠に使うわけぇ……いやあるんですけども。
しかしバニ上、使う機会が無さそうなんですよねぇ……