「これが! 余の! 全力である!!」
「甘い、甘いわネロ!! 私に勝てると、思わないことね!!」
「ふっ。その程度、読めている!!」
「なっ――――そこでカウンター!?」
「ふはははは!! 中々完璧なタイミングであったが、余の方が一枚上手のようだったな!!」
「超必殺をカウンターで受けて飛ばすとか、何よそれぇ!!」
吹き飛ばされ、無念の逆転K.O負けを喫したイシュタル。
もちろん、実際に飛んでいるわけではなく、あくまでもゲームの中のキャラクターだ。
そして、勝ち誇るのはネロ。イシュタルの繰り出した、ほぼ隙の無い超必殺までのコンボに、刹那のタイミングでカウンターコマンドを打ち込み投げ飛ばす事によって、何とか勝利した。
「ふっふっふ。これでなんとか、余の面目は保たれたな」
「くぅぅっ……!! 悔しいわ……!!」
「キャスターになってから調子がいいし、これはノッブへの下剋上……果たせるのではなかろうか……?」
「むっ……良いであろう。その挑戦、受けようではないか」
そう言って、ノッブはイシュタルと交代し、二人はキャラクターを選択し始める。
「……何かしら、不穏な気配がしてきたわ。まぁ、面白そうだからもう少し見ているのだけれど」
「もう少し前が良い……ここだと見辛いのだが……」
「そうねぇ……あ。ヘラクレスがいるじゃない。お願いできないかしら」
「……ヘラクレスって、そんな風に使っていいんだっけ……? というか、無理しなくてもBBの部屋から中継用にテレビ奪ってくるよ……?」
すでに行ってしまったエウリュアレを見送りつつ、オオガミが呟く。
そして、その言葉を聞きつけたのか、背後から声をかけられる。
「ちょっとセンパイ。今凄いセリフが聞こえたんですが。私の部屋のテレビを奪ってくるってなんですか。というか、設定を誰がするんですか」
「え? そりゃ、BBと俺だけど……」
「さりげなく巻き込まれてるんですけど!? いえ、確かに私も欲しいとは思ってましたけど、どうやって持って行くんです?」
「そりゃ、エルキドゥに頼んで」
「エルキドゥさん酷使しすぎなんじゃ……そのうち反逆してきません? いやですよ? センパイのせいで私まで殺されるとか」
「いや……流石にそこまで無茶な事はさせてないし、見回りとかは半分趣味でやってるのかと……というか、最近は俺の命も危うくなってきてるよ?」
「……なんですか、その本末転倒な状況。面白いので許します。って事で、中継テレビはノッブの部屋から取って来ましょう。大丈夫です。ほぼ同じようなモノなので、設定はそっちでもできます。ノッブが大改造してない限り」
「一気に不安になったよ! まぁ、取って来るけども!」
「はい。頑張って行ってらっしゃ~い!」
「いや、待って。そこまで俺は機械に詳しいわけでもないから、出来れば一緒についてきてほしいんだけど」
「えぇ……エルキドゥさんもいるじゃないですか……嫌ですよ。襲われたらたまりませんし」
「そこはほら、まだ令呪あるから何とかなるって」
「そうですか? なら、行きましょう」
何とかBBを説得し、共に部屋を出て行く二人。
「やはり、今の余に敵は無し!!」
「それはどうかのぅ?」
「えぇい意味深な事を! これで、どうだぁ!」
「残念。これで
「なぁっ!?」
「ま、リーチの差じゃな。是非も無いよネ!」
二本先取。若干危ういところはあったものの、まだノッブの方が強いようだった。
「ぐぬぬ……もう一戦!! リベンジ!!」
「えぇ~? 儂、今ので凄い精神削ったんじゃけど……」
「む、むぅ……それなら仕方あるまい。全力のノッブでなければ意味がないからな。なら、ノッブが休憩している間、余は練習しているぞ!」
「うむ。頑張れネロよ!」
そう言って、ノッブは席を立ち、自然な様子で茨木が座る。
「ふむ……吾でも……出来るな。うむ。こんとろーらーとやらも壊れぬし、問題なかろう。相手を頼んでもよいか?」
「余か? うむ、任せよ。だが、容赦せぬぞ!!」
「あぁ、それでよい」
そう言って、二人はキャラクターを選択し始めた。
そして、その隣では、ようやくテレビを持ってきたオオガミ達が、ノッブを引き込み中継するための作業をしていたのだった。
超必殺をカウンター! とか、やられると心折られる奴。
しかし、現状ノッブは我がカルデア内最強の格ゲーマー(エルキドゥは参加していない模様)。果たして彼女を破る者はいるのか……!!(フラグ感