「主殿主殿ぉ!!」
「ぐはあっ! 飛び乗って来るとは、お主牛若か!!」
「えぇ、私です! 牛若丸です!!」
「と、突然飛び乗ってきて、何かあったの?」
「ハッ! そうでした。土方殿が先ほど大量に沢庵を持ってきて、休憩室が大混乱になっています!」
「何をしてるのかな土方さん!?」
牛若丸の言葉に、とりあえず尋常じゃない気配を感じとるオオガミ。当然、その休憩室に向かうのだった。
「というか、どうして飛び乗って来たのさ。普通に伝えれば良いと思うんだけど」
「信長殿がそうしろと」
「ノッブめ、後でとりあえず一撃入れておこう」
さらっとノッブに処刑を下す事を決めるのだった。
* * *
「沢庵が大量に持ってこられたって――――うわぉ」
休憩室の扉を開けると、眼前に広がる無数の樽。
「あぁ、マスターか。少し作り過ぎちまってな……俺だけじゃ処理出来んからこっちに持ってきた」
「どうしてエミヤのいる厨房ではなくこっちに持ってきたんじゃお主……」
「あぁ? どうしてだ? 沢庵は朝昼夜八つ時。いつでも食うだろう?」
「何言ってるんじゃお主は。お主ならいざ知らず、周りはそうでないと知れ」
「なんだと……?」
「沢庵というすでに完成された一品……エミヤなら何とかしてくれる……?」
「この溢れ出るエミヤの万能感」
「飽きないかどうかが問題だけどね」
ともかく、この大量の樽を運び出すのが最大の問題である。一体いくつあるのか分からない樽の量。どうやって運んだのか、疑問でしかなかった。
「そもそも、誰がこんな量を運んできたのさ」
「全部土方一人じゃ」
「どうして誰も止めなかったのさ……」
「いやぁ……一体どれだけ運び込まれるのか気になったからな。面白そうだから見ておった。儂、最近部屋に帰ってないし」
「ボイラー室の隣の部屋を不法占拠とか、びっくりだよ。というか、ボイラー室横で沢庵って作れるの……?」
「……あぁ、儂の工房の片隅にあった見覚えのない樽って、そういう事か……」
「なんで放置してたんだろ、この戦国武将……」
どうしてこんなになるまで放っておいたのか。それはやはり、ノッブも原因の一端のようだった。
「それじゃあ、ノッブも手伝うって事で、この部屋の樽を厨房に運ぶよ」
「えぇ~? 儂も手伝うの~?」
「原因の一端なんだから、手伝おうよ」
「儂、勝手に部屋を使われただけなんじゃけど……」
「むしろ勝手に使われているのになぜ放置したのか。そこで止めておけば何とかなっただろうに……」
「それに関しては儂も自分の行動に疑問を持つがな!」
「とりあえずマスター。これを厨房まで運べばいいんだな?」
「あぁ、うん。お願い」
「主殿。私も手伝いますよ」
「……さらっと沢庵食べてますね、この武将」
「もう儂要らなくね?」
「いいから働けぃ。手伝わないなら、後で痛い目を見てもらうだけだけどね……」
「不穏極まりないんじゃが。じゃが。仕方あるまい、手伝うしかないな」
そう言うと、四人は樽を運び始めるのだった。
ジャパニーズサーヴァント イズ クレイジー……なんだその沢庵の量は……!!
というか、沢庵をそんな作って、何を考えてるんですか土方さん。というか、本当に沢庵ひたすら食ってるんですか土方さん。どれだけ沢庵愛してるんだ土方さん。(偏見)