「よし……まだ頭がくらくらするけど、なんとか復活だよ」
「なんでそんなに回復が早いのか気になるんだけど。もう二、三日眠ってなさいよ」
「どうしてそうもエウリュアレは僕に精神攻撃してくるのかな!?」
「まぁ、そういう時もあるわよ」
エウリュアレの返事に、そういう時しかないじゃないか。と内心突っ込むオオガミ。
当然の様にエウリュアレの前に座り、ふと思い出したようにエウリュアレに聞く。
「珍しく一人なんだね?」
「……何よ、いきなり。どうしてそんなことを聞くのよ」
「いや、特に理由は無いんだけどね? 珍しいなって思って」
「……ノッブが工房に引きこもっちゃったから……」
「……そういえば、BBも見えないような……」
「……気のせいよね」
「……そうだよ。気のせい気のせい。あの二人なら昨日の事件を引き起こしそうな気がしなくもないけど、気のせいだよ」
「まぁ、後で工房に行ってみましょうか」
「バラキーもついでに連れて行こうか」
「そうね。シュークリーム辺りで懐柔しておきましょうか」
シュークリームで懐柔される茨木。出来ないと言い切れないあたり、彼女の人の良さというか、鬼の良さがあるというか。
「それにしても、なんだかあなたとこの部屋で話すのも久しぶりな感じがするわね」
「そうだねぇ……ここ最近、レース見守ったり脱獄見守ったりしてたからね。遊んでる時も大体この部屋じゃなかったし」
「そもそも、二人ってのが珍しいのよ」
「……そういえば、そもそもエウリュアレ以外に一対一で話したことあるのって少ないような……」
「それ、どうなのかしら……」
「まぁ、そもそもこんなに英霊がいるのに、一対一で話すこと自体が珍しいといいますか……どうしてエウリュアレだけなんだろうね?」
「こっちが聞きたいんだけど。なんでそんなことになってるのよ」
「さぁ……ちょっと分かりかねるね」
「……大体答えを期待しないで聞いてるけど、あなた、高確率で答えを濁してる気がするんだけど、気のせいかしら」
「気のせいでしょ。うん」
「そう……とりあえず、少しお菓子を食べましょ。そのあとにノッブの工房に行きましょうか」
「おぉ……それで、何を食べるの?」
二人は席を立ち、お菓子エリアを見に行く。
「シュークリームでバラキーを懐柔するのなら、ついでに食べちゃえばいいよね」
「そうね。じゃあ、持って行きましょうか」
「……吾、シュークリームで懐柔されるのか……というか、汝らは吾に何をさせる気だ……」
その声に振り向くと、そこには件の茨木がいた。
「ちょうどよかった。いやね? ノッブの工房に行ってみようと思って。おそらくあそこにノッブとBBが籠城してるはずだし、エルキドゥ達が乗り込む前に行こうかなって」
「ふむ……ノッブの工房か。よし、面白そうだ。参加するとしよう」
懐柔する必要もなく茨木はノッブの工房へと行く事を決め、彼らはシュークリームを食べながらノッブの工房へと向かうのだった。
はたしてノッブの工房には何が眠っているのか……そして、無事生還できるのか……
続くとは言ってない。