「さて……ノッブさん。貴方、また何かやらかしてたりしませんか?」
「……何をいきなり言ってくるんじゃ、マスター」
オオガミの突然の発言に、ノッブは思わずジト目で見てしまう。
「いやですね? この前の部屋……あったじゃないですか。あれを量産してる可能性を考えてですね……?」
「……本音は?」
「別にわざわざ俺を巻き込む必要は無かったと思うの」
「マスターがおらんと成立せんだろあれは」
ハッキリと断言するノッブ。流石のオオガミも、それには硬直。
「えっと、なんでいないと成立しないのさ」
「ほら、何かあった時、止められそうなのがマスターしかおらんし」
「それ、単純に俺をそっち側に入れればよかっただけなんじゃないですかね」
「嫌じゃよ。令呪でも使おうものなら確実に犯人が特定されて、儂らが見つかるまでが秒読みになるからな」
「なんと。そこまで計算して……ひどすぎじゃない? それつまり、犯人捜しで即バレするからハブったわけか」
「当然じゃろ。隠密出来ん暗殺者を連れて暗殺に行こうとする奴がいたらそれは本物の阿呆じゃ。虚けというか、道化と言うか……つまりはそういう事じゃ」
「さっすがノッブ。ぶっ飛ばす」
「おう、新宿では服選びで世話になったが、敵対するのなら容赦はせんぞ」
「ふはは。絶対ノッブには似合わなそうな服を着せて写真撮ってカルデア中にばらまいてやるもんね」
「ほぅ……いいじゃろう、その案に乗った。じゃが、儂も同じような攻撃をすると知るんじゃな。儂に似合わぬ服装をさせるのなら、マスターは女装じゃ。そりゃもう、様々な服を着せて写真を撮ってカルデア中にばらまいてやるから覚悟しておくがいい」
いつの間にか、如何に相手を着飾り写真を撮ってカルデア中にばらまいてやるかと言う戦いに変化していた。
しかし、肝心の勝負内容はまだ決まっていなかった。
「さぁ、勝負内容を決めようじゃないか」
「将棋でどうじゃ?」
「……武将に挑むほど愚かじゃないんで、別の事にしよう」
「じゃあ、腕相撲」
「サーヴァントに勝てるわけないんだよねぇ……」
「むぅ……対等とは難しいものよなぁ……」
「そうだねぇ……」
「じゃあマスター。伯母上とあれをやればいいんだよ」
突然現れる茶々。
そして、放たれた言葉に二人は首をかしげる。
「あれ?」
「あれって……どれ?」
「ネロとエリザのカラオケ耐久合戦!」
「「さては殺す気だな!?」」
天使の様な満面の笑みで悪魔の如き残酷な一言を告げてくる茶々。
思わず二人で叫んだのも、仕方のない事だろう。
「でも、とりあえず対等だと思うよ? どっちも大ダメージ間違いなしだし」
「サーヴァントが死ぬような攻撃を受けて、どっちが長く耐久出来るかとか、中々地獄だと思うんですがそれは」
「いや、しかし……単純に耐えるだけなら、何とか……」
「それに、エリザのはランサー宝具だから伯母上にはクリティカルだよ!!」
「儂をピンポイント攻撃じゃな!!」
「流石ノッブの姪!! 言う事が一味違うぜ!!」
「おいマスター。お主の中の儂のイメージはどうなっておるのか聞きたいんじゃが。じゃが!」
前も言ったようなセリフを言うノッブだが、当然スルー。
「よし、とりあえずそれで行こう!!」
「な、何を言っとるんじゃマスター!! 死ぬぞ!! マジでこれは死ぬぞ!! 全身の穴と言う穴から血を噴出して死ぬぞマスター!!」
「部屋はノッブとBBが悪戯に使ったあの部屋にしておこう!! エルキドゥに言って扉は強固に封印して、ネロとエリザを集めてカラオケだよ!! 俺は生身の人間だからハンデで耳栓付けていいよね!!」
「音響爆弾に耳栓が効くかぁ!!」
しかし、ノッブの絶叫空しく、オオガミは三人を集めに走り行くのだった。
宝具を生身で受けたら即死すると思うんですがそれは。
まぁ、オオガミ君はすでにネロとエリザのカラオケ大会を生き残ってますし、何とかなるでしょう。頑張れオオガミ。それ行けオオガミ。とりあえずどっちが勝ってもカルデアはにぎわうはず。
……どっちが勝った方が喜ぶ人は多いのだろうか……