「祭りが始まるって言ってるんだけど……」
「そうね、あの二人は今ごろ迷宮の中よ」
「馬鹿なの!? 茶々、怒るよ!? 何時になったら帰ってくるの!!」
「さぁ……意地でも帰ってくるんじゃない?」
憤慨する茶々に話半分で答えるエウリュアレ。
「というか、バラキーも連れて行かれちゃったから暇ね……」
「……ハッ!! 今のうちなら伯母上の金庫襲ってもバレないんじゃね……?」
「……まぁ、頑張りなさいな」
走り去っていく茶々を応援しつつ、そもそもレースに全財産使い果たして空っぽなんじゃないだろうか。と考えるエウリュアレ。
そして、ビスケットを一枚取り、口に運んだところで牛若丸が飛び込んでくる。
「エウリュアレ殿エウリュアレ殿!! 一体主殿はどこへ行かれたのですか!!」
「今頃巌窟王とペアを組んでノッブ・バラキーペアと競争してるわよ」
「そうですか……か、観戦とか出来ませぬか?」
「BBが作ってるはずよ。行ってらっしゃい」
「BB殿ですか……ありがとうございます! 行ってまいります!!」
走り去っていく牛若丸を見送るが、後にBBが涙目で襲い掛かってくることを想像するエウリュアレだった。
「余が来たぞ!!」
「
ドヤ顔で入ってくるネロとエリザベートに、面倒なのがやってきたと思うエウリュアレだった。
「む? マスターがおらぬではないか」
「どこ行ったのよ。というか、ノッブもいないじゃない」
「あの二人なら迷宮の中を彷徨ってるわよ。何時まで彷徨ってるかはわからないわ」
エウリュアレの言葉に目を見開くネロとエリザベート。
「な、なんだそれは! 余による余の為の余のネロ祭を開催するというのに、肝心のマスターがおらぬとはどういうことだ!!」
「どうしてこういう時に限っていないのよ!! 訳が分からないわ!!」
「そんなこと言われてもねぇ……昨日嬉々として突撃していったし……」
「あの二人は一体何をしたのだ!!」
「二人で喧嘩をして、昨日ばらまかれた写真の原因になるような事を――――って、冷静に考えたらその喧嘩に貴女達巻き込まれてたわよね……」
「む? 余達が巻き込まれて……?」
「全く記憶にないんだけど……何かあったっけ……」
「……あぁ、本人は自覚して無いものね……」
エウリュアレは若干苦笑いでそう言うと、紅茶を飲み、もう一枚ビスケットを取り口の中に放り込む。
ネロとエリザベートはその間も考えていたが、やはり心当たりは無いようだった。
「まぁ、今日は寝なさい。明日の午後から本番でしょ? BBとアステリオスに言って、探しに行ってみるわ」
「む。なぜBBなのかを問いたいところだが、まぁ良い。任せようではないか。余は準備があるからな」
「
そう言うと、ネロとエリザベートは出て行く。
一体何をしに来たのだろう。と思わなくもないが、約束をしてしまったので、とりあえず探しに出てみようと、残っているビスケットを食べて部屋を出るのだった。
はたして、明日までにあの四人は帰ってこれるのか……頑張れエウリュアレ。見事全員を探して脱出するんだ!