「無理」
「嫌です」
「あんなもの、普通に勝てるわけないでしょう!!」
「……もう、今回は諦めって事で」
表情が死んでいるオオガミとBB。そして、怒りに毛を逆立て声を荒げる玉藻に、見ていただけにも関わらず精神にダメージを負ったエウリュアレ。
やはり万能の天才は凶悪だった。というよりも、どちらかと言えばその取り巻きが凶悪過ぎた。
完全にジャンヌを呼んで来いと言わんがばかりの敵の性能に加え、強化解除も忘れずにな。と言いたげな無敵貫通。しかも、ダ・ヴィンチちゃんの宝具自体に防御無視まで入っているため、いくら防御バフを増やしたとしても意味が全くない。
「あまりにも強すぎるよ……もう、このクエストは諦めで。ジャンヌかマーリンがうっかり来てくれない限り放置で。というか、無理にやらなくてもいいんじゃないかな……」
「あ、本気でスイッチ入ってるわ。これ、もうダメね。はい、解散かいさーん」
「なんでエウリュアレさんが仕切ってるのか分かりませんが、私は賛成です。という事で、遊びに行ってきますね!!」
「
「うまく采配できなかったのが敗因かなぁ……」
「あんな暴力、普通に無理よ。少なくとも、今のままじゃね」
「ん~……来年には攻略できるようになってるといいなぁ……」
「そうね。私もそうなる事を祈ってるわ」
BBと玉藻はそれぞれ行ってしまい、残った二人は何をしようか考えるのだった。
「あ、マスターじゃん。今日はもう周回行かないの?」
「鈴鹿……? あ~……いや、行くよ。というか、今日はもうそれだけやって終わるから! もう高難易度とか行かないから!!」
「マスターどうしたじゃん? ちょっとテンションおかしいみたいだけど?」
涙を浮かべながら叫ぶオオガミを見て、鈴鹿は困惑したような表情で聞く。
「自称万能の天才に叩きのめされたところよ」
「へぇ……万能の天才って、ダ・ヴィンチの事? ずっとそんなこと言ってるし」
「そうそう。中々凶悪で、かなり精神削られたみたいよ」
「ふぅん? 強いのかな?」
「編成が中々すごくてね。正直私は見てるだけだったけど、相当ひどかったわよ」
「そんなにかぁ。まぁ。無理に急いでやる必要は無いんだし、大丈夫だよマスター! 今日はゆっくり休んで、明日また挑めばいいじゃん?」
「……そう、だね。うん、今日は行けるだけ周回行ってもう休もう。そうしよう。じゃあ、とりあえず急いで終わらせるために、レッツゴー!!」
やる気が回復したのか、オオガミは元気よく走っていく。
それを見ていた二人は、
「まぁ、マスターが元気になってくれてよかったじゃん?」
「そうね。まぁ、休むための全力なんでしょうけど」
そう言って、一拍。冷静になった鈴鹿は、自分が編成の中にいたことを思い出して走り出すのだった。
マジであんなのどうしようもないんですけど。一体どうやって倒せっていうんですか。
いや、何とかネロ祭が終わるまでに倒したいとは思うんですけどね。精進せねば……