「ついに明日よ、マスター。準備は良いわね? 具体的にはQPは万全よね? 種火は十分でしょう?」
「……えっと……」
「……ちょっと待ちなさい。その沈黙は何かしら。何? 何が足りないの? この数日の間に何をしたの? ふざけてるの?」
「いえ、あの、女神さま……あのですね? QPが大きく足りなくてですね……理由は主に貴女の妹様もちょっと絡んでいると言いますか、実際は玉藻とマーリンに放り込んだのが主な原因だったりと言いますか……」
エウリュアレの殺意のこもった冷たい視線に気圧され、視線を逸らすオオガミ。
「ねぇ、すぐにレベルマスキルマするって言ってたわよね?」
「あれ……出来るならって言わなかったっけ……?」
「知らないわ。言おうと言わなかろうと、やるのよ」
「ちょっと本気で何言ってるかわからないです女神さま」
「私の視線から逃れられると思わないでよ? もう、ただ守られるだけの少女じゃなくなってしまった私は、知っての通り男性に対してはかなり凶悪よ?」
「マスター相手に宝具を放つ気ですよこの女神!! 怖い!!」
男性に対し、魅了からの視線で確殺していく我らの女神さま。その脅威が明らかにオオガミに向いたのだが、彼自身は別段困ったように笑うだけで、本気で警戒してはいなかった。
もちろん、最後には微笑んで許してくれるだろうという思いがあったからだろうが。
「全く……貴方は何時もそう。大体何かを忘れてるのよ。想定外が絡むと、すぐにそっちに流されるんだから。今回だって、主な原因はマーリンじゃない。彼を育てる前に、玉藻を育てておこうと思ったんでしょう?」
「そ、そうだけども……なんというか、見透かされてる感じが凄い……」
「当然。どれだけ一緒にいると思ってるのよ」
「そりゃ、絆レベルがMAXになるまで一緒にいたけどさぁ……」
「でしょ? どうしてそれでバレないと思うのかしら」
「……まぁ、そうだよねぇ……とりあえず、時間はかかるけどスキルマはするし、レベルマは明日中にするよ」
「……わかったわ、妥協してあげましょう。でも、全力でやりなさいよ? ボックスがまだ残ってるのは知ってるからね?」
「……ま、任せといて!」
「不安しかないわ……」
実際に明日になって種火を使ってからQPは考えるしかない。宝物庫は荒らすとしても、しっかり溜まるかが分からないのだが、最終的にはスキルは上げるのでいいだろう。
「とりあえず、次のイベントか特異点発生までには何とかするよ」
「えぇ、頑張りなさい。今月中よ!」
「んな無茶な!? って、チケット盗られてる!?」
拒否権は無く、エウリュアレはいつの間にか奪い取ったチケットを持って部屋を出て行ってしまう。
数秒か固まった後、その後ろをオオガミは本気で追いかけるのだった。
うちの女神さまは対男性最強……ロリメドゥーサも来て、後はステンノが来れば悩殺パーティーの完成だぁ!!
さて、宝物庫荒らさなきゃ……