「……こんなところで何をしているんですかあなたは」
「ん? あぁ、その姿はアナだね。一体僕に何の用だい?」
「マスターの部屋の前で何をしているのかを聞いているんです」
部屋の前に立ってニコニコと笑っているマーリン。そこにたまたまやってきたランサーメドゥーサは、思わず突っ込む。
「ここにいるのはあれだ。この部屋が一番覗いていて楽しいからね」
「除きですか。馬鹿なんですか。死にたいんですか。姉様達がいるので覗いたら殺しますね」
「物騒だね君は! というか、なんでマスターの部屋に君のお姉さんたちがいるのかな」
「なぜかは分からないんですけど、姉様達はマスターの部屋でくつろいでいるのが多いので。今日も同じですよ。それに、覗くのなら休憩室が一番だと思います」
「そうかい? じゃあ、行ってみるかな。実際、僕はここに来てからずっと部屋にいたからね。あまり探索をしていないんだよ」
「そうですか。休憩室はこの廊下をまっすぐ行って変な音とかが聞こえ始めたら休憩室と書いてあるプレートのかかっている部屋があるはずなので、そこです」
「変な音? なんだい? 何が聞こえるんだい? 君に言われると不安しかないんだけれど」
「行けば分かります。おそらく何かが起こってるはずですから」
「なるほど……? まぁ、行ってみるよ。じゃあね」
「えぇ。頑張って生き残ってください」
去っていくマーリンを見送り、アレは自由組だな。と思いつつ、メドゥーサは自然な様子でオオガミの部屋へと入って行く。
「あら、メドゥーサ。遅かったじゃない」
「どうかしたのかしら?」
「……もしや、部屋の前に誰かいたの……?」
「遅くなってしまってすいません。それと、部屋の前にマーリンがいたので、休憩室に葬っておきました」
「あれ、休憩室は死地だった?」
入ってきたメドゥーサに、オオガミとエウリュアレ、ステンノの三人が迎える。
メドゥーサの発言に、安全圏である休憩室の存在がセーフゾーンじゃないのではと困惑するオオガミ。
「それと、マーリンは恐らく自由組側かと」
「えっ、こっち側? いや、そんな気がしてたんだけど……だそうですよ、エウリュアレ様」
「……まぁ、良いんじゃないかしら。こちら側が充実するしね」
「そうかしら? あまりあの人は好きじゃないのですけど……」
「類友かな? 同類だから戦争なのかな? これは内戦勃発なんです?」
「馬鹿言わないで。別に同類がいても、気にしないわよ」
「……もうほとんど姉様達は観察者側じゃなくなっているのですが、言わない方が良いですよね」
「メドゥーサ。小さく言ってもバレているからね? 後で覚悟しなさい」
「……すいませんでした」
メドゥーサは、エウリュアレに即座に謝るのだった。しかし、それで止めてくれるのはこの場においてオオガミくらいだろう。
「しかし、マーリンがついに部屋を……これは荒れるな……」
「そうは言っていても、楽しそうね」
「まぁ、引きこもっていたのが出てきただけで十分かと。ワクワクだね」
「これ以上危ない人を増やしても困るだけだと思うんですが……」
「良いじゃないのメドゥーサ。面白い事がもっと起こる様な気がするわ」
不安げな表情をするメドゥーサと、マーリンが出てきたことで楽しそうなオオガミ。そんなオオガミを見ていて楽しそうなエウリュアレと、全体的に楽しそうだと笑うステンノ。
その後、四人は普通にお茶会をするのだった。
ゴルゴーン三姉妹は封印……封い……封……ちょっと知らないですね。運用していきましょう。本当はリップの話をしたかったんですけどね!