「つまりはそういう事だよ。オオガミ君」
「……唐突に何を言い出すんですか、この探偵は……」
「いやなに、これからこのカルデアで戦争が起こる気がしてね。一応言っておこうかと思ってね」
カルデア廊下にて。オオガミはホームズにそう言われた。
発端になるのは何かというのは言わず、ただ起こるというのだけが告げられる。
なんとなく予想がついていた事ではあるが、この探偵にはっきりと言われると、不安になる部分が大いにある。
「それにしても、突然の警告だね……何かあったの?」
「面白そうだからね。静観しているのも良いが、少し関わってみたかっただけさ」
「なるほど……? つまり、ホームズも参戦って事なの……?」
「いや、傍観していることに変わりはないよ。あくまでもアドバイザーと考えてくれればいい。直接的な抗争に参戦する事は無いよ」
「そう。ふぅ、よかった。これ以上異常な戦力が向こうに増えたら打つ手無しだからね……しかも、ホームズとエルキドゥを組ませたらカルデア内の全てを把握された挙句にやろうとしてることが全部ばれそうだし……」
「ふむ。それはそれで面白そうだ」
「……本気でやられたら敵わないんですがそれは……」
しかも、風紀委員組のメンバーがメンバーなだけに、完全にどうしようもないという感じだ。ホームズ自体も強いので、こちらは両手を上げてバカヤローと叫んで爆散するのが精一杯だろう。
なので、どうにかこちら側か中立にいて欲しいものだ。
「それで、マスターはどうするつもりだい? 私は一応中立を保つつもりではあるが」
「……何をするかは大体想像がついてるんじゃないの?」
「それはそれだよ。推理は推理であって、絶対ではない。話を聞いておく分には損はないと思ってね」
「ふぅん? とはいっても、これからノッブ達と対抗物を作りに行くだけだけどね?」
「なるほどね。神の兵器に対抗する道具……まぁ、楽しみにしているよ」
「……完成するか怪しいけどね」
エールを送り、悠々と去っていくホームズを見送りつつ、オオガミは呟くのだった。
しかし、ホームズにああ言ったものの、対抗できる物を作るのはそう簡単なものではなく、どうしようもないのが現状だったりする。
ちなみに、この戦争は実際に起こすときは模擬試合という名目でシミュレータを使ってやる予定だったりする。
「エルキドゥに勝つにはどうすれば良いかなぁ……あの鎖を封じる方法が無いのがなぁ……ギル様がいれば話は別なんだろうけど」
そんな事を呟きながらノッブの工房へと入って行くと、ノッブ達はすでに何かを始めているようだった。
「む。おぅマスター! 先に始めておるぞ!」
「何してるの?」
ノッブが楽しそうに言ってくるので、一体何を思いついたのか聞くオオガミ。
それに答えたのはノッブではなくエウリュアレ。
「ほら、以前BBにスロット攻撃されたじゃない。あれが使えるんじゃないかと思ったのよ」
「あ~……あれかぁ……」
「シミュレータを使うんですし、それなら細工できるんじゃないかと思ったわけです。BBちゃんにお任せを!」
「で、儂らはそれを見つつアイデアを出しとるわけじゃな」
「なるほどなるほど。それはちょっと面白そうだね。よぅし! 俺も考えるぞぅ!」
オオガミはそう言うと、作業を手伝うのだった。
エルキドゥを止めるために悪夢のBBスロットを復活させる……!! というか、エルキドゥ以外にも危険な人物がいっぱいいる気がするんですけどね……