「……ねぇおっきー」
「なぁに? マーちゃん」
「その嵌めコンボ、酷いと思う」
「単純にマーちゃんが下手なだけだと思う」
バッサリと切り捨てる刑部姫。オオガミはぐぅの音も出なかった。
「実際、昨日ノッブとやった時は切り返されたしー。というか、なんであんなにうまいの、あの戦国武将」
「そりゃ、日がな一日ずっとBBと遊んでいますし……」
「なんでそんなことを……
「まぁ、基本暇だしね。似たようなもんだよ」
「なんで引きこもりで鍛えたゲームテクが、最近になって遊び始めた素人といい勝負になるのかなぁ!」
「まぁ、その、たぶん、あれだよ。センスが異様に良かったんだよ」
「納得いかない!!」
そう言われても、実際に短期間で異様に強くなるのだから、何とも言えない。あの強さは何故か。とにかく、成長速度が凄まじいのだ。
「てか、なんでマーちゃんはここにいるわけ?」
「ん? そりゃ、理由なんてないですとも。強いて言うなら、ここが一番安全そうなので」
コントローラーを右手に持ったまま武蔵ちゃんクッションに倒れこむオオガミ。
刑部姫もそれにつられて倒れるが、別段何かするわけではない。
「というか、ここに来た時、大体マーちゃんは一部のサーヴァント以外放置してるって聞いたんだけど?」
「まぁ、その、全員の所に回ってるわけじゃないからね……あまり関わってない人もいるわけです。つまりはまぁ、そういう事です」
「あ、あぁ……うん、まぁ、時間が足りなくなるよね。仕方ない仕方ない。ネトゲーで会話してるとあっという間に時間が過ぎてっちゃう感じだよね」
「まぁ、こっちはリアルバージョンだけども」
「リアルはちょっとなぁ……」
「そんな引きこもり過ぎて今更出て行かれなくなった人みたいなことを……」
「堂々と私の事だよねそれ! 分かってて言ってるよねマーちゃん!!」
「さぁ……何のことかは分からないです。とりあえず、冬の祭典までに間に合わせてください先生」
「突然そこに降って来るんだねマーちゃんは。助手に任命するよ?」
「えぇ~……手伝えることないんですけど、先生」
「まぁ、参考資料になってくださいという事で」
「一体何をさせるつもりなんですか先生」
「そこはノーコメントだよマーちゃん」
「不安しかないんですが」
刑部姫の不安しか感じない不穏な微笑み。オオガミは苦笑いになるが、ここまでいろいろあっても何とかなって来たので、今回も何とかなるんじゃないかと考える。
しかし、その数日後にエリちゃんライブレベルの大ダメージを受けるとは、夢にも思わないのだった。
おっきーのあの便利さよ……あの引きこもり感。いや、引きこもりの部屋にこんな簡単に入れると思うんじゃない。と思わなくもないですけど。
そして、やはりここでも出てくるかノッブ。ノッブのゲームレベル高すぎるんじゃが。