「トリック・オア・トリート!!」
「菓子を寄越すか人前に二度と出られなくなるような悪戯か、選べマスター!!」
「前者の訳がその言葉なら、本気で泣くからね。バラキー」
一体何をされるのか。ただ、その笑みの裏にあるのはとてつもなく恐ろしい事だけは分かる。
ちなみに、ナーサリーは魔女服。バラキーはいつもの服装だった。まぁ、バラキーは確かに鬼なので、仮装も何もないのであろうが、せめて何か工夫して欲しかったと思わなくもない。
「とりあえず、ナーサリーにはこの袋を。バラキーはもう少し仮装をしようよ。確かに素が鬼だけども、それは仮装じゃないでしょうが」
「なぜ吾にそんな厳しいのか……うぅむ、皆目見当もつかなんだ。それほど問題か……?」
「せめて血糊を……うん。メディアさんの所に連れて行こう」
「あっ、ちょ、吾の菓子が遠のく!! い、嫌じゃああぁぁぁ!!」
悲鳴を上げながらも連れ去られる茨木。ナーサリーは手を合わせ、連れ去られるバラキーの冥福を祈るのだった。
「勝手に死んだことにするなぁぁぁ!!」
賢いナーサリーは、バラキーの悲鳴を聞こえなかったことにした。
* * *
「トリックオアトリート!!」
「菓子をくれねば、我が必殺の剣を食らわしてやろう!!」
「あら、ナーサリーさん。それに皇帝もセットですか……というか、貴女はどちらかと言うとこっち側でしょう。何をしてるんですか」
改めて突撃した部屋は玉藻の部屋。隣の皇帝は、ミイラの仮装なのか、全身に包帯をひたすらに巻いた様な服装だった。
「まぁいいです。では、ナーサリーさんにはこれを。皇帝は速やかにおかえりください」
「なぜ余の分は無いのか!! 用意しておくべきであろう、当然!! おかしいではないか!!」
「そもそも、貴女が来ることは想定してないんですぅ。子供の祭りに子供として参加するとかおかしいんじゃないですかぁ?」
「何をぅ!? もう余は怒ったぞ!! 今日という今日は許さん!! 決闘だ!!」
「ハァ!? 何をとち狂った事を言い始めるんですかこの皇帝!! い、嫌ですからね!?」
「先手必勝!! うりゃあああぁぁぁ!!」
ネロが部屋の中に入ったと同時に扉を閉めるナーサリー。戦利品は手に入れたので満足だった。
爆発音とか気にしない。ナーサリーは賢かった。
* * *
「トリックオアトリート!!」
「や、やめろぉ!! そもそもなんで当然の様にここに来てんだオタク!! しかもなんかふえt」
扉を開けて即閉めた。緑の人と竜少女の戦争は、音を聞いてるだけで死んでしまうので、聞かなかったことにするのだった。
ナーサリーは賢いのだった。
* * *
「トリックオアトリート!!」
「おぅ、ナーサリーか。一人なのか?」
最後に訪れたのはノッブの工房。エウリュアレが部屋にも休憩室にもいなかったので、ここにいると思って来たところ、見事にいた。
ちなみに、エウリュアレを探していたのは、彼女が一番お菓子を持っていて、且つ多く分けてくれそうだからである。
「えぇ。最初はいたんだけど、一人になっちゃったわ」
「一体何があったのよ……とりあえず、中に入って来なさい。お菓子をあげましょう」
「わーい!」
そう言うと、ナーサリーは大喜びで部屋の中に入ってくのだった。
本当はエミヤ母さんとかも出したかったんですけど、犠牲にする人が思い浮かばなかったので諦めで。