「しかしまぁ、敵がライダーだと周回がきついなぁ……」
「あの、私、役に立ってますか?」
「リップは今一度自分の性能を見直した方が良いと思います。要するに、役立ってないわけないでしょうが」
「うんうん。それよりマスター君? 明らかに僕は邪魔だよね? ライダー相手にこんな貧弱なキャスターを連れて行くなんて苦行、なんでしてるんだい?」
「NP&攻撃力補強だからね。死ぬか死なないかのギリギリを通ってください花の魔術師さん」
「辛辣だね! いや全く困ったものだ!!」
はっはっは。と涙目で笑うマーリン。こんな対応をされるので、実際そこまで深刻に思ってないとオオガミに思われていることに気付かない花の魔術師。当然、相手がライダーだろうが出撃である。
「でも、マスター。マーリンさんは置いておいたとしても、普通にアサシンを連れてきた方が良いんじゃないですか?」
「……リップ。良い事を教えてあげよう」
「え? あ、なんですか?」
「……うちには、全体バスター宝具アサシンはいないんだ」
「……あの、それってつまり……」
「うん。交代不可能ってこと」
「……なるほど。だから私なんですね……」
根本的に育っていないのは、もはやどうしようもないと言ってもいいだろう。
「しかし、本当にライダー相手は辛いんだけど……なんで僕は未だにここで戦ってるのかな?」
「そんなこと言われてもね……結局マーリンは周回でも高難易度でも使える助っ人キャラなのだよ」
「うぅむ。まさかグランドキャスターになったのをこんなところで後悔する時が来るなんで思わなかったよ」
「俺もまさかこんな落ち込むとは思わなかったよ」
「もっと頑張ってバフかけてくださいよ。『この辺り、弄った方が良いんじゃないかな?』なんて気取ったこと言いながら」
「傷心中の相手に対して酷い言い草だよね君は!! この前もあのバーサーカー二人の盾に私をしたしね!」
「ひゃう! マスター! この人、怖いです!」
「君からも何か言ってくれないかな?」
「う~ん……とりあえず、マーリンは周回をするって事で」
「おっと、これは酷いな!! どれくらい酷いかって、思わず僕が突っ込み役になるくらい酷いな!!」
「ふふふ。残念でしたねマーリンさん。マスターは私の味方なので」
「いや、リップも一緒に回るんだからね?」
「あれっ!?」
さも自然に自分は関係ないかのようにリップは言っているが、最初から誰も交換しないとオオガミは言っていた。なので、当然リップも周回要員なわけで。
「で、でも、私じゃやっぱり攻撃力無いですし……」
「いや、そのためのマーリンだし……」
「……でもでも、私、狙われやすいですし……」
「そのための幻術だし」
「…………ほら、でも、もっと強い人はいますし……」
「この先も考えると、ライダーだけじゃなくてアサシンとかも出てくるから、やっぱりリップの方が良いんだよ」
「え、えぇ~……」
「……ねぇ、本当に僕は必要なのかい?」
「さっきも言ったけど、リップの護衛だから」
「あぁ、なるほど……じゃあ、仕方ないわけだね」
観念したのか、二人とも静かになる。
オオガミはため息を吐き、
「よし。じゃあ後少しでグミも終わるし、頑張るぞ!」
「お~!」
「はいはい。まぁ、任せてくれたまえ」
三人はそう言って、ピラミッドに突撃するのだった。
正直リップというアタッカー兼ディフェンダーという子の強さよ。なんだかんだ言って、今回の周回の一番の功績者と言うかなんというか。
ライダー本当に嫌いです。全体アサシンは水着ニトクリスと水着スカサハ師匠しかいませんし、どっちもバスターじゃないし……リップがいなかったらほぼ詰んでいるという。