「マスター。延長入ったけど、果実は使うのかい?」
「う~ん……考え中」
すぐに終わらせるか、果実消費無しで終わらせるかを考えているオオガミ。
諸々の結果、この特異点はもう少し長引くことになったが、はたして今のペースで終わるのかと考えると、不安な気持ちもあるのだった。
「うむむ……今日は様子見かなぁ……」
「つまり?」
「まぁ、果実は使用しない方向で」
「分かった。じゃあ、今日はそれほど忙しくならずに済みそうだね」
「うん。のんびり行こう」
オオガミはそう言うと、先程からずっと背中に張り付いている茨木に声をかける。
「どうして今日に限ってこんな引っ付いてるのさ」
「それは、菓子がもう無いからであろうが……!!」
どうやら現在涙目でオオガミの首を絞めにかかっている鬼にとって、菓子の貯蔵は死活問題のようだった。
「……あのね、バラキー。ここで俺が死んだら、帰れなくなるよ?」
「むっ! それは困る……まだ吾が食っておらぬ菓子があるからな。このまま座に帰るわけにはいかぬ」
「うんうん。じゃあ、いい加減、本気で息が出来なくなりそうだから力を緩めてくれると嬉しいんだけど……」
「あぁ、すまぬ。意識していなかった。それで、一つ疑問なのだが、何故吾は帰れないのか」
「……前にも話した気がするんだけどなぁ……!!」
暗に、早く帰りたいということなのだろうか。
しかし、今さっき果実は使わない宣言をしたばかりである。流石に変更は出来ない。
「あ、明日中に集まれば帰れるから、それでどうですかね。バラキーさん」
「むぅ……明日さえ、明日さえ乗りきれば、吾は帰れるのだな?」
「そ、そうそう。なんとかなるはずだから、今日のところは落ち着いていこう。ほら、少しならクッキーを食べても良いから」
「なに!? それは真か!!」
「えっ、あ、うん。ただ、食べ過ぎると明日帰れなくなるから自重してよ……?」
「任せるが良い!! 吾は大江の山の総大将。自制くらい出来て当然よ!」
そう言うと、茨木はクッキーを保管しているところへと走って行く。
まぁ、確かに彼女は暴れていないので、ストレスも溜まるだろうから、それを食べることで発散してくれるのは問題ない。
しかし、エウリュアレ達と違って、彼女に体型維持のスキルは無かったと思うのだが、変化でどうにかなるようなものだっただろうか。と思わなくもない。
「まぁ、バラキーが食べたいって言ってたんだし、仕方無いよね。それでちょっと太っても、八つ当たりと運動に付き合えば良いか」
オオガミは一人納得し、再び周回へと向かうのだった。
本日は早めの投稿。夜中に書く余裕がなさそうなので繰り上げですね。出来れば早めに投稿したい私の精神。
しかし、そろそろバラキーがふっくらしてきそう……それはそれで可愛いような気がしなくもないんですけどね。