茶々許すまじ!! 吾は怒ったぞ!!(ねぇバラキー。どうして茶々がバラキー対策してないと思ったの?)
「貴様かぁ!! 茶々ぁ!!」
「うわぁぁ!? な、なに!?」
襲撃を受けてなんとか回避するも、一体何の事か分からない茶々。
しかし、襲撃者の顔を見て気付く。
「げっ、バラキー!」
「ようやく気付いたか……!! 菓子の恨み、とくと味わえ!!」
「うひゃぁ!!」
全力で逃げ出す茶々。バラキーはその後を追いかけ、隙を見ては攻撃をしていく。
だが、茶々の動きはまるで予め予測していたように的確で、且つどこかへ向かって一直線に進んでいく。
その事に気付いたバラキーは、しかし。それでも関係無いと追い掛ける。
「逃げるばかりか!!」
「へっへ~ん!! 茶々はちゃんと考えてるからね! ってことで、飛び込みぃ!!」
そう言うと、茶々は突然扉の中へと入っていき、そこの部屋主の背後に隠れる。
バラキーは、どうにかして部屋主を退かせないかと思い部屋主の顔を見ると、
「あら。あらあらあら。虫がどうして私の部屋に……? まさか、何かを仕掛けにでも来たのでしょうか?」
「…………ら、頼光……!!」
「ふふふ。まぁなんにせよ、ここで斬り伏せてしまえば良いことですね。では……覚悟してください?」
「……仕切り直し!!」
「逃がしません!!」
鬼が追いかけられる鬼ごっこの始まりだった。
* * *
「とまぁ、マスターが帰ってきた辺りでそんなことがあった訳じゃよ」
「なるほど。それでバラキーはノッブから離れないわけだ」
「うむ。まぁ、流石の儂も、ランサーで来られたら勝ち目はないんじゃがな」
「あの、先輩。なんで茨木さんはあんなに怒っているんです?」
休憩室にて、ノッブの影で震えているバラキーと、呆れたような顔のノッブ。
マシュはそもそもの経緯が気になるようだった。
それに対して、オオガミが答えようとしたとき、エウリュアレが言葉を遮る。
「茶々がバラキーのマカロンを盗んでいったのよ。それで、バラキーはひたすら探しまくったあげく、茶々が盗んだことに気付いて怒りのままに報復。予想していた茶々が頼光の所に逃げ込んで、今に至るって感じよ」
「……なんで遮られたんですか、俺は」
「良いじゃない、これくらい」
「まぁ、良いけどさぁ……とりあえず、そんな感じだよ」
「なるほど。それで頼光さんは茨木さんの事を探していたんですね」
「そう言うこと。まぁ、しばらくじっとしていれば大丈夫だと思うけどね」
エウリュアレの説明に納得したのか、コクコクと頷くマシュ。
「儂の工房までは流石に来ないじゃろ。つか、来たら困るんじゃけど」
「流石に頼光さんも、そこまで行くとは思いませんけどね」
「吾としては、安全なら何処でも良いのだが……」
「……あ、刑部姫の所は、逃げ込めるし遊べるしで完璧だと思うんだけど」
「エウリュアレ……中々酷なことを……」
「ふむ。そうじゃなぁ、対戦する約束もしておったし、バラキーが着いていっても問題ないか……?」
「まぁ、行ってみる他ないわね」
「そうじゃよねぇ……仕方あるまい。行ってくる」
ノッブはため息を吐きながらも立ち上がり、扉へ向かい、その後ろをバラキーがついていく。
と、そこでマシュが声をかける。
「あの、誰か護衛としてついていった方がいいのでは?」
「まぁ、最悪儂が殺られても、誰かが届けてくれるじゃろ。つか、なんでカルデア内なのに命の危機に瀕してるんじゃ、儂」
「根源は貴女の姪よ。覚えておきなさい」
「……後で茶々にはキツく言っておかねばな……」
ノッブは気持ちを新たに、バラキーと共に休憩室出ていった。
「……生きて帰ってくると信じて」
「途中でバッタリ会うと見たわ」
「エウリュアレさんが不吉なことを……」
二人が去った後、三人はそんなことを呟くのだった。
いやぁ、ハロウィンの時の茶々の名前を見たときからずっとやりたかった話……
とりあえず、バラキー対策で頼光さんは当然ですよね(遠い目