「マスターさんマスターさん。クリスマスなの?」
「そうですよ。クリスマスまで後一ヶ月以上ありますよ。主殿」
「イベント復刻だからね? ボケだよね? 冗談で言ってるんだよね?」
真面目に言っていそうで不安になるオオガミ。
彼女たちがキョトンとした表情で見てくるのも原因の一つだろう。
「クリスマス復刻だなんて、知ってるわ。当然じゃない」
「ほ、本当に? うしわっかも大丈夫?」
「えっ、あ、はい。大丈夫です!」
「うん。不安だなぁ……一緒に行って無事に帰ってこれるかなぁ、これ……」
不安そうなオオガミ。しかし、そんなオオガミ手を伸ばす天使が一人。
「先輩。今回は私も行きますから、安心してください」
「マシュ……!!」
我らが希望の星、マシュ。
彼女がいればおそらくオオガミは負けないだろう。
きっと。たぶん。おそらく……いやしかし、あのオオガミである。不安な気がしてならないのは一体何人いるのだろうか……
「マシュ、一緒に行っても大丈夫なの?」
「大丈夫です。戦えなくても、援護は出来ますから」
「う、うぅむ……マシュにはあんまり危険な目にあってもらいたくないんだけど、どうしたものか……」
「ねぇマスターさん。まだいるわよね?」
「……あぁ、そう言えば、まだいたね……」
ナーサリーに言われて思い出す。そう、食堂にいるあの人なら、とりあえず全員任せてもいいんじゃないかと……
* * *
「それで、私の全員を守れと? 流石に無理があるだろう」
「いやいやいや。そこはほら、エミヤ先生ですし」
「その信頼はどこから来るのかね……いや、別に行かないというわけではない。ただ、守り切れる自信が無いというだけだ」
「まぁ、ある程度は何とかなるんで。最悪皆に頑張ってもらえれば何とかなると思ってるしね」
「なに、私も久方ぶりの前線だ。少々鈍っていると思うが、なに。すぐに勘を取り戻せるはずだ」
「さっすがエミヤ先生!!」
ため息を吐きながら、エミヤは了承する。ただ、守り切れるかは自信が無いとのことで、最悪の場合は自分が何とかすることを決める。
「よし。じゃあ、メンバーも一応仮決定だね。しかし、倒し切れるかどうか……」
戦力的に不安があるものの、オオガミとしては実際戦ってみないと何とも言えない。
「明日に備えて、QPを溜めに行って来よう……よし。ドレイク船長とリップを連れて、宝物庫荒らしじゃー!!」
オオガミはそう言うと、食堂を飛び出していった。
「全く、騒がしいマスターだ」
そんな後ろ姿を見て、エミヤはそう呟くのだった。
ランサーの種火が足りないという。ジャンタをどれだけの速度で鍛え上げる事が出来るかが問題……!!