「マシュも行っちゃったわね」
「そうじゃのぅ……あ、おっきー。そっちのお菓子取って」
「レベル差を前に、
「レベル100とレベル80相手にレベル1が叶うはずもないと。まぁ、RPGでレベル1とか、無謀スタイルというか、普通不可能じゃよね!」
なお、敵を倒すだけでレベルが上がる場合、チュートリアルか最初のボスでどうあがいてもレベルは上がってしまう模様。
ノッブは刑部姫に取ってもらった煎餅をバリバリと食べながら、ゲームを操作する。
なお、やっているのは茨木と共に刑部姫の部屋に引きこもっているときに渡されたゲームの模様。
「しっかしまぁ、見ているだけで楽しいんか?」
「楽しいわよ? 具体的には、ノッブが死ぬ瞬間とか」
「うんうん。こういうゲームは、やってる人が初見殺しとか、ミスってバッサリ殺られたりとか、突き落とされるとか、そういう感じで悲鳴を上げてるところを見るのが楽しいんだよ」
「こやつら、性格どうかしとるんじゃが……儂も人の事言えんけど」
自分がエウリュアレ達の立場なら、爆笑しながら見守っていたに違いない。
実際、茨木がやっていたのを見ていた時には、爆笑しながら見ていた。
「うぅむ、正直ローリングの性能高すぎじゃろ……絶対当たっとるよね」
「そこは考えちゃダメだと思う」
「まぁ、それがなかったらどう考えても今の三倍くらいは死んどるし、良いんじゃけどね?」
「あ、ノッブ。あそこにアイテムが見えたわ」
「むっ? ど、どこ……あ、あそこか」
「そうね……って、どうやって行くの?」
「……もしかして、壁になんかあるとかか? 聖剣伝説みたいに」
「聖剣伝説って……」
刑部姫が苦笑いになるも、ノッブは真剣にいろんな場所の壁を斬り続ける。
すると、突然消える壁。
「おぉ、マジであったんじゃが」
「へぇ……こんな仕掛けがあるのね」
「よく自力で……というか、どうして聖剣伝説なのか。他になかったの?」
「パッと思い付いたのがそれだったからな」
「でも、あれって専用の道具が必要だったわよね」
「うむ。じゃから音が変わるだけだと思ってたんじゃが、まさか壁が消えるとは思わなんだ」
ノッブはアイテムを回収し、少し満足げ。
しかし、次の瞬間、上から降ってきた物体に押し潰され、即死した。
「……なんじゃそれぇ……」
「あっはははは!! まさか完璧に引っ掛かるとか思ってなかったから、お腹痛い……!!」
「まぁ、良く見ると最初からいたわよね、あれ。落ちてくるとは思わなかったけど」
「うっわぁ……儂、心が折れそうなんじゃけどぉ……圧殺とか無いんじゃけどぉ……」
「ふっくくく……! 見事に引っ掛かったわ……! これはもう、笑うしかないわ……!!」
「ぐぬぅ……もう次は殺されぬわ。どうせ転がって終わりじゃろ?」
ノッブはそう言ってもう一度同じところへ行く。
そして、
「ふはははは! 儂を誰だと思っておるのか! 第六天魔王なるぞ!! ふはは!! これくらい造作もないこ――――どわぁぁぁ!? も、戻ってくるとか聞いてないんじゃけどぉぉ!?」
転がり落ちていったものが階段を全力で上ってきて、悲鳴を上げながらローリング回避するも、目測を誤ったか。奈落の底へと落ちていくノッブ。
「……悲しい事件だったわね」
「ぷっ……くくく……あははははは!! あれだけカッコつけて落下落ちとか、ノッブ最高!! あはははは!!」
「ぬ、ぐ、あ、うがーー!! なんじゃそれは!! 無しじゃろそんなん!! 反則にも程があるじゃろ!?」
半泣きになりながら叫ぶノッブ。しかし、いくら叫んでも、失われたものは帰ってこない。帰ってくるのは、慢心して奈落の底へ落ちた証拠である、『YOU DEAD』の文字だけ。
「はぁ……今日はもう止める。また明日じゃよ」
「えぇ~? もう止めるの?」
「うむ。で、今からおっきーを格ゲーでボコる」
「ほぅ……?
「勝負は単純。どちらかが心折れるまでじゃ!!」
「上等!! 泣かされる覚悟はあるんでしょうね? ノッブ!!」
突然の展開についていけないエウリュアレは、とりあえず面白そうな格ゲーを選んで、ディスクを勝手に入れるのだった。
なお、数時間後に一時帰宅するであろうエミヤに仲良く拳骨をくらい、両者半泣きで強制終了になる模様。
ちなみに私は、聖剣伝説は一作目しかやってないです。