「トナカイさんトナカイさん。お腹が空きました」
「まぁ、そりゃ空をこんなに飛んでたらお腹も空くよね。えっと、ここら辺にお弁当が……」
メディアお手製バッグの中からエミヤ作のお弁当を取り出すオオガミ。
サンタジャンヌは目を輝かせ、オオガミはそんな彼女にお弁当手渡す。
「曰く、ここを引っ張ると温まるらしいんだけど……」
「ここですか? ば、爆発とかしないですよね?」
「しないと思うけど……不安ならやるよ?」
「い、いえ。これくらい出来ないとサンタとしてやっていけませんからね。やります!」
「お弁当一つでこの気合い……しかも、ちゃんと自分でやってくれるという……他のは皆あの手この手で任せようとするのに……!!」
それ以前に、どうして言われたままにやっているのかという疑問が残るが、今は気にしないことにするのが一番だろう。
そして、そんなことを呟いているオオガミとは違い、サンタジャンヌは真剣な表情で紐を手にして弁当箱の蓋をしっかりと押さえている。
「い、行きますよ? トナカイさん」
「頑張って~!」
「いち、にの、さん。で行きますからね?」
「うん。分かった。いつでもどうぞ?」
「……いち……にの……さんっ!」
引くと同時に、中からシューシューと音がする。
その効果をサンタジャンヌは感じたのか、目を輝かせながらオオガミを見る。
「トナカイさんトナカイさん! 温まってきました!! ホカホカな感じがします!! じんわりと温かくなってます!!」
「な、なんと……一体どうやってこんなのを作ったんだ……」
「今度聞いてみないとですね!! 作ったのは、エミヤさんと……」
「エジソンだね。しかし、いつの間に……」
「とりあえず、エミヤさんに聞くのが一番ですね! もしかしたらサンタの仕事で使える日が来るかもしれませんし!!」
「そうだね。カイロとかも欲しいしね」
「いえ、これはカイロとは違う作り方だと思うんですけど……」
「おぉっと。小さなサンタさんに言われると心に響くものがあるぞぅ? 具体的には、そんなことも知らないんですか? って言われてる感じだね」
「流石にそこまでは言わないですし、トナカイさんはきっとわざと言ってるんだと思いましたし。それで、カイロは無いんですか?」
「あぁ、やっぱ寒いよね。カイロカイロ~っと。ん~……これだっ!」
バッグの中から取り出したのは見事カイロ。しかも、貼るカイロだ。服の裏側に貼り付けておけば、このソリの上でも安心の温かさだろう。
「とりあえず、それなりにあるみたいだし、サンタさん。使います?」
「えっ、あ、その……ど、どうしてもというなら使いますよっ」
「じゃあ、どうしてもってことで。どこに貼ろうか。というか、貼るところある……?」
「だ、大丈夫です! 自分で貼りますから!!」
そう言うと、サンタジャンヌはオオガミからカイロを受け取り、ゴソゴソ動く。
オオガミはそのまま見てるわけにもいかないので、自分の分のカイロをペシペシ服の裏側に貼り付けていく。
「って、このままだとお弁当が冷めちゃうんじゃ……?」
「あわわ! そ、それは困ります!」
慌てた様子でサンタジャンヌは服装を正し、お弁当に向き直る。
「カイロ貼り終わりましたし、そろそろ食べますね。トナカイさん自由に食べてくださいよ? では、いただきます!」
サンタジャンヌはそう言うと、満面の笑みでお弁当食べ始める。
オオガミはその様子を眺めつつ、自分の分のお弁当を探すのだった。
こうね、幸せそうな表情で食べてる人を見てるのって、見てるこっちも幸せになる感じするんですよ。
って言葉がなんとなく脳内に流れた私です。
ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ可愛いよ本当。
あ、実は私、温まる弁当も貼るカイロも使ったことないので、使い方とか色々と間違ってるかもしれないので、こうじゃないの? というのがありましたらご一報ください。
ついでに、エジソンは持ってないので、出てくるまでは登場予定はないのでご注意下さい。
……あの、ところで……このソリ、どうやって動いてるんです?