「わぁ!! 高いわ! マスター!!」
「ふふん。このソリは特別製なので。ね、トナカイさん」
「謎動力ということに目を瞑りさえすれば、凄いんだけどねぇ……」
不可思議謎動力のソリ。しかし、彼女たちが楽しそうなので良しとする。
今回はナーサリーも同乗しているので、いつもより会話も多い。
「それにしても、海かぁ……色々あると思うんだけど、どこに行くの?」
「うぐっ……その、そこまでは決めてないと言いますか……」
「行き先未定ってことね?」
「はうっ…不出来なサンタですみません……」
「別に良いわ! きっと悩んで出してくれた場所はキレイだもの!!」
「おぉ、流石ナーサリー。小さい組のリーダーなだけあるね」
「えっへん。これでもカルデアではお姉さんなんだから!」
「そうなんですか?」
「来てくれた日付の話だけどね。召喚された順と考えればお姉さんで合ってはいるよ」
「なるほど……私の名前にひたすらスパムを付けたこの人が……」
「何か含みがある気がするのだけど、気のせいかしら?」
「含みなんかないです。ただ、名前にスパムって付けるのはどうかなぁって思っただけです」
「やっぱりあったじゃない!! もぅ。怒るわよ!?」
「はいはい。ソリの上で暴れないでね」
両手を振り回して抗議するナーサリーを膝の上に乗せて落ち着かせるオオガミ。
しかし、次の瞬間。ナーサリーはサンタジャンヌに向けて謎のドヤ顔をかます。
サンタジャンヌは頬を膨らませる!
「トナカイさん! ズルいです! 後で私にもして欲しいです!」
「突然何を言い出すんですかサンタさん。何故にそんな怒ってるんですか」
「そうよ。マスターの膝の上は私のもの。サンタさんにはあげないわ!」
「むむむっ!!」
「睨んだってダメなんだからね!」
「……ぐすん」
「……う、海に行くまではダメなんだからね!」
「あっ。妥協した」
「マスターはうるさいわ!」
「ごふぅっ!」
ナーサリーが座った状態で繰り出した肘鉄は、見事なまでにオオガミの脇腹を穿ち、致命的ダメージをオオガミに与える。
なお、二人は気づいていない模様。
「海に着いたら貸してくれるんですね?」
「え、えぇ。良いわ! 私が満足できたらね!!」
「よぅし、頑張りますよぅ!! 絶対満足させてみますからね!!」
「……あの、俺の意思は……?」
「マスターはイスだから喋っちゃダメよ」
「トナカイさんはそのままでいてください」
「……言動すら許されないのか」
だんだんと、否。前々から、既にオオガミの扱いは酷くなる一方のようだった。
言動が許されないオオガミは、静かに二人の会話を聞くことに徹するのだった。
最終的にオオガミ君を酷い目に合わせたいのか。自問自答している私です。
うん。ジャンタがプロフィールと離れていってるなぁ!!