エウリュアレが休憩室入ると、じっとこちらを見つめるオオガミがいた。
何かと思い近付くと、差し出されるフォーク。その上にはケーキが乗っている。
エウリュアレは突然のことに首をかしげるも、特に疑うこともなくそれを食べる。
「ねぇマスター? ケーキとか、靴下とかの回収はどうしたの?」
「うぅむ、どうもうちの女神様は休憩すら阻止しようとしているようだね」
「いえ、よく回収作業が終わってないのにケーキを食べれるわね。と思っただけよ。マシュに見つかったらどうなるかしらね?」
気を取り直したようにのんびりとフルーツケーキを食べているオオガミを見て、エウリュアレは不敵に微笑む。まるで、貴方の命は私が握っていると言わんがばかりの表情だ。
しかし、オオガミは大して動揺した様子もなく、
「……じゃあ、エウリュアレも同罪ということで」
「なんでよ」
「だってほら、エウリュアレが部屋に入ってきたとき、食べさせたケーキはこれと同じものだし」
「……女神を騙すなんて良い度胸じゃないの」
怒っていると一目で分かるエウリュアレの笑顔。
オオガミも笑顔で返すが、引きつっているのは誰の目にも明らかだった。
「それで? 同じ方法で他にも共犯者、作ったんでしょうね?」
「いや? 正直、エウリュアレだけだよ? そもそも警戒しない方が珍しいし。ノッブとか、差し出した瞬間に逃げたもん」
「……嫌われてる?」
「そうは思いたくないなぁ……野生の勘だと思いたい……」
「やっぱり嫌われてるじゃない」
「ぐふっ……そんなはっきり言わないで……! エウリュアレには信用されてるから……!!」
「その信用がたった今消し飛んだのだけど……気付いているかしら?」
「エウリュアレがそんな無慈悲なことをするわけないって信じてるから。なんだかんだ言って、最終的に許してくれるって思ってるから」
「えぇ。じゃあ、今から言うお願いを聞いてくれたら良いわよ?」
「……どんとこい無理難題」
震える声で、エウリュアレの言葉を待つオオガミ。
そんな彼に、エウリュアレは微笑んで、
「マシュに私の事を伝えずに自白してきて」
「無理ですごめんなさい」
即答だった。
その反応を分かっていたのか、エウリュアレは笑いながら、
「ふふっ。まぁ、冗談よ。別にやらせたいようなこともないしね。ただ、あるとすれば……えぇ。一口なんて言わずに、もっと寄越しなさいよ」
「がっつり共犯者宣言ですね。女神がそれで良いんですか……」
「良いのよ。だって、集めるのは貴方じゃない」
「うぅむ、的確な突っ込みだ!! とは言っても、戦うのは皆なんだけどね。後で周回メンバーにも配らなくちゃ」
「えぇ、頑張りなさいな。後二日……楽しみにしてるわ」
「ふふん。サクッと終わらせてくるもんね。任せといてよ!」
「期待してるわよ。マスター」
オオガミに差し出されたフルーツケーキを受け取り、エウリュアレは楽しそうに微笑むのだった。
そして彼は後悔するのだ。この時食べなければ、足りていたはずだと……
どうも。手に入れた石30個を瞬間的にクリスマスガチャに投げ入れた私です。孔明礼装二枚同時引きしたんで、血を吐く程度で済みそうです。
じぃじ? 来てくれないのは分かってるんですよ……なにせ、ここ最近アサシンパラダイスでしたし。尚更ダメな予感……