「降臨させちゃるもんね!!」
「……儂、もう知らんからな?」
「なんか、楽しそうよね。ここまで来ると」
召喚室でそんな話をするいつもの三人。
今回は珍しく触媒を用意するようだった。なお、効果があるかどうかは置いておくものとする。
なお、ノッブは知らぬ存ぜぬで逃げようとしているが、悲しい事に運ぶのを手伝った時点で同罪である。
「……で、何を中心に集めたんじゃ?」
「クトゥルフ神話関連の装備を一式。まぁ、マンガ関連なんだけどね」
「うむ、儂もコレ読んだことあるのぅ。マスターの部屋に遊びに行った時とか、たまに読んどったし」
「登場人物はクトゥルフ神話系統なのに、やってることはクトゥルフがあんまり関係ないけどね」
「せ、設定は若干クトゥルフしてるから……」
「まぁ、予防線でCOCルールブックも置いておるし、問題ないじゃろ」
「……効くとは思わないけどね」
「エウリュアレが裏切ってきた!!」
「そもそも味方になった覚えもないのだけど」
やれやれ。といいたそうに首を振るエウリュアレ。
オオガミは裏切られた気分なのだが、エウリュアレ本人はまるで気にしていない様子。
「うむ。それで、本当に引くんか? ここで止めても良いと思うんじゃよ?」
「いや……ここでやめたらどうして用意したんだよ状態なんだけど……」
「良いじゃろそれでも」
「そんなこと言われても……意地でもやるよ? 回しちゃうよ? 今日を逃したら死ぬよ?」
「なんでそこまでガチなんじゃよ……」
「正気度を持ってかれたからじゃないかな!!」
「ダメじゃコイツ!! エウリュアレに治療してもらえ!!」
「えっ、魅了しろって事? 残念だけどノッブ。マスターに私の魅了は効かないわよ……?」
「なんじゃそれ……魅了耐性高いのかマスター……」
「いいえ? 違うわよ?」
「えぇ……なんでなんじゃよ……あっ」
「まぁ、ノッブなら気付くわよね……」
「そう、すでに魅了済みだからだよ!!」
「……もう、このマスター嫌なんじゃけど」
考えることを止め、遠い目をするノッブ。
なお、オオガミはあまりのドヤ顔故に殴り飛ばされたものとする。
「全く……ノッブは最初から分かってたくせに」
「んなわけあるかい。儂はもう疲れたわ……なんか、ここ最近マスターの暴走を止めっぱなしのような気もするしな。そろそろ儂が事件を起こす番じゃよ」
「なんて恐ろしいこと考えてるんだこの武将……怖いんだけど……」
「私は知らないわよ。マスターが何とかしなさい」
「なんて適当な……!! というか、エウリュアレ飽き始めてない?」
「えぇ。だって、ノッブを放っておいて、さっさと召喚しちゃえば良いのよ。なのに、ノッブと話して誤魔化してるのがいるんですもの。面白くないわ」
「うぐ……図星だからなにも言えない……」
観念したようにオオガミは最後の呼符を取り出し、触媒を置いた陣の中心へと向かう。
「まぁ、頑張りなさい。応援はしてるわよ」
「儂はマスターなら面白いもんを見してくれると思っとるからな。期待しとるぞ」
二人の声援を受け、オオガミ唾を飲み込むと、意を決したように呼符を地面に置くのだった。
引いた結果は……明日の続く!!