「まずはそう、明日だよ」
珍しく考えているオオガミ。
隣で見ているエウリュアレは、散々指摘しても考える素振りを続けるマスターに呆れており、ラング・ド・シャを食べながら見守っていた。
「で、今日はどんな無駄なことを悩んでるのかしら」
「そりゃもちろん、明日の行動予定だよ。午前のAPを無駄にせず、しかし午後のイベントに万全の状態で挑むにはっていう時間配分だよ」
「ふぅん? 良いじゃない。金の果実を食べれば。どうせ手に入るでしょう?」
「まぁ、それを言われると確かにそうではあるんだけども。QPも足りてないから宝物庫荒らさなくちゃだし」
「言葉だけで考えると、とんでもないこと言ってるわよね。普通に犯罪だもの。字面って大事ね」
「うん。まぁ、強盗っぽかったけど、やってることもあながち間違ってないのが問題なんだけど。それはいいよ放っておいても。そもそも、あの宝物庫って、ウルクのだったりしない? さりげなくバビロニアに飛ばされてるんじゃないの?」
「そんなこと私に言われてもね。王様に見つかったら御愁傷様ね」
「流石に会わないと思うけどね……会ったらエルキドゥに頼むとするよ」
「エルキドゥも大変ね。マスターが親友の宝物庫襲って返り討ちにさせられて護衛させられるんですもの」
「まぁ、全力で謝れば何とか許してくれるはず……ダメならバラキーで吹き飛ばそう」
「ゴリ押しじゃない……」
きっと、最終的にはゴリ押しが一番だろう。と考えているであろうオオガミにエウリュアレはため息を吐いて、振り回されるバーサーカー達は大変なんだろうな。と思うエウリュアレ。
すでに彼女は、引きずりまわされた過去など、忘れ去っていたのだった。
「それで、決まったの?」
「ん? あぁ、行動予定? もちろん。考えるまでも無くその場の乗りと勢いで生きればいいんだよね! どうせ開幕は効率悪いし!」
「まぁ、そうなるわよね……というか、最初から分かってたわよね。なんでわざわざそんなこと考えてるのよ。馬鹿じゃないの?」
「ちょ、エウリュアレ……最近どんどん攻撃的になってませんかね? 泣くよ?」
「あら、泣き顔を見せてくれるの? それは楽しみね。で、何時泣いてくれるのかしら」
「……そう言われると泣けなくなるよね……」
冗談で言ったのをやれと言われると、打つ手が無くなるのはよくある事だったりする。
エウリュアレはそんなオオガミを見て、ふふ。と笑い、
「本気でやるなんて思ってないわよ。まぁ、目薬はあるけどね。やる?」
「ん~……そこまで用意済みだと、むしろウケない気がするから止めとくよ。また別の時にしよう」
「そう。じゃあ、そう言う事にしましょうか」
エウリュアレはそう言うと、オオガミに寄りかかり、
「明日、頑張ってね。待ってるわよ」
「……やれるだけはやってみるよ」
オオガミはそう言って、明日を楽しみにするのだった。
あれ……エウリュアレがまたヒロインしてる……だ、誰かこの二人を止められないのか……!!