「ふ、ふはは……儂はだんだんと慣れて来たぞ、この感覚……!!」
「伯母上。それ、倒れるフラグ。すでにボロボロな人の発想だよ」
「茶々め、言ってくれおるな……じゃが、逆に治ってきてるやつの発想でもあるんじゃなこれが!」
「しっかりフラグを強固にしていく伯母上マジ凄い。最強の虚け者は伊達じゃないって事だね。茶々も伯母上を見習ってしっかり寝て治すことにするよ」
そう言うと、布団に入って寝る茶々。
ノッブは不満そうな表情をするものの、今日は一番生きてるかどうか怪しい刑部姫の所に行く予定だったのだ。
「んじゃ、儂は行ってくるからな。留守番しとるんじゃよ」
「ん~。他の人に迷惑かけない様にしてよ、伯母上」
「儂をなんじゃと思っとるんじゃコイツ」
そんなことを言いながら、ノッブは部屋を後にする。
「……また落ちてたりしないじゃろうね……あの金ぴかみたいに」
廊下に出て、この前の出来事を思い出しながら次はないだろうなと思うノッブ。
だが、今回も見つけてしまった。しかも、刑部姫の部屋の正面で。
「あ~……まさかバラキーが倒れてるとは思わなかったんじゃけどぉ……」
文字の様な形をしている炎と、うつぶせで倒れている茨木。ちなみに、『しゅめる』と書かれていた。
生きているのだろうが、ダイイングメッセージのような文字を炎で書くのは、後で掃除が面倒になるかもしれないから止めてほしいと思うノッブ。魔力を食うのもあるが、火事になったらどうするつもりだったのだろうか。
「……そう言えば、バラキーがどこの部屋にいるのか知らんな……仕方あるまい。おっきーの部屋に突撃して置いて行こう」
「部屋主の前で何恐ろしい事言ってるのノッブ」
部屋の扉が開いて、顔だけ出してくる刑部姫。
ノッブは平然としている刑部姫を疑問に思いつつも、足元で死にかけてる茨木を指差すノッブ。つられて視線を落とし、茨木を発見すると同時に部屋の中に引っ込む刑部姫。
「ちょ、ちょっと。なんでバラキーが倒れてるのよ。何したの?」
「儂が来た時にはこうなってたんじゃって。というか、なんでバラキーがおっきーの部屋の前で倒れてるのか知りたいんじゃけど」
「そりゃ、一緒に部屋に籠ってたけど、まさか飲み物を取りに行くって言って、中々帰って来ないなぁって思ったら部屋の前で倒れてるとか思わないじゃん!」
「あ~……それは儂もびっくりじゃ。まさかバラキーもシュメル熱にかかってるとはのぅ……つか、儂としてはおっきーもかかってる予定じゃったんだけど」
「何言ってるのよ。病気なんかにかかったら周回やアイテム集めが遅れるじゃん。当然健康に気遣うし。最近熱くなってきたから冷房付けてた
「何の勝敗なんじゃよ……まぁいい。バラキーはおっきーの部屋に寝かせても良いか?」
「まぁ、別にいいけど……
「さすがおっきー。じゃ、儂も遠慮なく」
廊下と比べて明らかに涼しい部屋の中に入ると同時、刑部姫に止められる。
「待てい。せめてマスクはしなさいバカ。移されたら困るから。今ここで倒れるのはイベント的にアウトだから。クリスマスとか、イベント盛りだくさんなんだから倒れられるわけないから」
「……お主、そのやる気を他の場所で出したらどうじゃ……?」
「方向性が違うから無理。ノッブなら分かると思うんだけど」
「ん~……まぁ、そうじゃな。やりたいようにするのが一番じゃな。是非も無し。おっきーの生存確認も出来たし、しばらく儂もここに引きこもらせてもらうとするか」
「いいけど、ちゃんと暑さが収まったら帰ってよ」
「いや、それより早く出て行くつもりじゃけどね。まぁ、遊ぶとするかの」
そう言うと、慣れたような手つきでノッブはゲームをセットしていくのだった。
茶々のノッブに対する扱いよ……
しかし、我がカルデアのイベントボーナス外唯一の生存者はおっきーという。誰がこんなことを想像しただろうか……